皮下脂肪を構成する細胞と同様の脂肪細胞(脂肪を蓄えた細胞)が増殖して、しこりを形成したものです。通常、皮下脂肪のなかに生じる比較的ありふれた良性腫瘍です。
成熟した脂肪細胞には増殖能はありませんが、成人になっても、脂肪細胞へと分化しうる未分化の細胞が毛細血管の周囲には至るところで残っており、脂肪細胞の供給源になっていると考えられています。腫瘍性増殖は、このような未分化の細胞に何らかの異常が生じたものと想定されますが、その機序(仕組み)については明らかではありません。
しかし、脂肪腫の80%近くに何らかの染色体異常が見いだされているので、これらの染色体異常によって導かれた遺伝子異常が脂肪細胞への分化と増殖に関わっているものと推測されます。
どこの部位にも現れますが、
初めは見た目の変化はなく、触ると皮膚の下に軟らかいしこりを触れるだけです。徐々に大きくなり、やがて隆起するようになると、体の輪郭を乱すようになります。しかし、皮膚の表面には異常はありません。肥満者に多く、体重が急に増える時に大きくなりやすいのですが、
触診により診断可能なものが大部分です。CTやMRIなどの画像検査を行えば、診断はさらに確かなものになります。
手術によって摘出します。
気になる症状があれば皮膚科専門医を受診し、診断を確認したうえで手術を受けるかどうか決めるとよいでしょう。
田村 敦志
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
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