改訂新版 世界大百科事典 「千粒重」の意味・わかりやすい解説
千粒重 (せんりゅうじゅう)
thousand-kernel weight
穀類や豆類の種実1000粒の重量。種実の登熟の良否を判定するのに用いる。イネの場合玄米で19~23g,コムギの場合玄麦で30~40gの範囲であることが多い。千粒重は作物の諸形質の中では,比較的環境条件による変動が少ないもので,品種固有の特徴を強く表すといわれるが,登熟時の条件によっても変動する。例えば,登熟の適温より高温の場合には,登熟の速度は早まるが,登熟の終了する時期も早まり,結果的には小粒になる。イネ,ムギの収量は穎花(えいか)数と稔実歩合と粒重の積で表すことができるので,粒を大きくすることは収量増加の一要因となりうる。実際には粒を大きくすると,他方で穎花数が減少するなど負の相関関係が出てくる場合が多い。千粒重の測定は労力のかかるものであるが,最近,光電管を利用した穀粒の計数機が市販され,労力が軽減されるようになった。
執筆者:浜村 邦夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報