千葉寺廃寺(読み)ちばでらはいじ

日本歴史地名大系 「千葉寺廃寺」の解説

千葉寺廃寺
ちばでらはいじ

[現在地名]中央区千葉寺町

下総国千葉郡にあり、千葉郡家にかかわる古代の寺院跡。海上山千葉寺の所在地付近に推定され、和銅二年(七〇九)行基の開基と伝え、同寺の創建にかかわる廃寺とされるが、五回の発掘調査では土塁・溝・経塚などを確認したものの、寺院遺構は確認されていない。出土遺物は瓦・瓦塔・経筒や白磁の合子、檜扇の一部などで、経筒には納経の残欠があった。鐙瓦は複々弁四葉蓮華文鐙瓦が二種類、宇瓦は三・四・五重弧文宇瓦が確認され、その瓦当文様や製作技法は上総国市原郡所在の光善寺こうぜんじ廃寺(現市原市市原)武士たけし廃寺(現同市福増)の鐙瓦の影響を受け、下総国分寺創建期の鐙瓦の一部に影響を与えており、製作工人の移動または交流が国が違っても行われていたことがわかる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

関連語 光善寺 武士

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android