納経(読み)のうきょう

  • のうきょう ナフキャウ
  • のうきょう〔ナフキヤウ〕

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

現世の安穏来世吉祥を願うため,あるいは死者追善供養のために神社,仏閣経文を納めること。平安時代末期から,ことに盛んになったもので,厳島神社の『平家納経』は著名である。江戸時代には国内六十六所の霊場をめぐり経文を納める「六十六部納経」が行われるようになったが,この場合は経文携帯の不便から,のちには金銭を奉納して経文に代え,納経帳に仏号,寺号,三宝印などを受けた。

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デジタル大辞泉の解説

現世の安穏、来世の幸せを祈願し、あるいは追善供養のために、経文を写して諸国の霊場に納めること。
経文の代わりに、金銭を寺社に奉納し、供養を願うこと。

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世界大百科事典 第2版の解説

書写した経巻を寺社に奉納して信仰の深さをしめし,神仏の加護故人冥福を祈ること。巡礼者がおこなう場合は,たとえば日本回国六十六部聖(ひじり)ならば,《法華経》六十六部(1部は8巻)を写経し,これを諸国一宮(いちのみや)に奉納して歩く。したがってこれを経聖(きようひじり)という。しかしのちにはこれを忘れて,西国三十三所観音霊場礼や四国八十八ヵ所観音霊場遍路のように,仏前で経巻を読誦することを納経というようになった。

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大辞林 第三版の解説

追善供養のために書写した経文を寺社に奉納すること。
寺社を巡拝して、経文の代わりとして金銭あるいは米などを奉納すること。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

『法華経(ほけきょう)』などの経典を寺社に奉納すること。写経の功徳(くどく)を霊場信仰に結び付けて高める方法で、12世紀後半ごろに始まり、多くは勧進聖(かんじんひじり)がかかわった。先行する経塚(きょうづか)への埋経と一連の関係がある。平清盛(きよもり)一門が厳島(いつくしま)社に奉納した平家納経は、『法華経』を中心とする装飾経の優品でもある。同じころから転読に供する『大般若経(だいはんにゃきょう)』を寺社に施入することも多くなる。しかし代表的なのは六十六部如法経(にょほうきょう)の方式である。これは12世紀末に初見し、全国66国の霊場に『法華経』を埋納したり、写経や読誦(どくじゅ)を奉納する回国行として発達し、納経先の寺社からは請取(うけとり)状が出された。これが16世紀に急増、近世には、他の霊場巡礼とともに簡便化し、ただ霊場に参詣(さんけい)するのを納経といったり、金品を納めて寺社から三宝印(さんぼういん)、寺印を受け、これを集めた集印帳を納経帳というに至った。[菅原昭英]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① 現世の安穏や来世の幸福を祈り、また死者の追善供養などのために、経文を写して寺社に納めること。また、その経文。
※真俗仏事編(1728)三「廻国納経(くいこくナウキャウ) 六十六部納経人、今世甚盛也。是北条時政前生納経の事より起れり」
② 寺社を巡拝して、経文の代わりに、金品を納めること。

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