半拉城址(読み)はんらじょうし(英語表記)Bàn lā chéng zhǐ

改訂新版 世界大百科事典 「半拉城址」の意味・わかりやすい解説

半拉城址 (はんらじょうし)
Bàn lā chéng zhǐ

中国,吉林省琿春(こんしゆん)県の旧県城の西約6kmにある渤海時代の土城。渤海の東京(とうけい)竜原府の所在地をめぐって諸説あったが,1924年以後,数回にわたって,琿春県に残る土城に対して地表調査と一部の発掘が行われた結果,東京竜原府がここに比定されて以来,有力視されるようになった。城壁は土築で,内城と外城から構成される。外城壁は,東西約700m,南北約740mの平面長方形をなす。内城もまた平面長方形であるが,外城の中央よりもやや北方に位置し,東西約214m,南北約315mを測る。内城内では,宮殿址と思われる建築遺構のほかに,池址が検出された。外城内には,寺院址などの建築遺構が数基あって,瓦塼ばかりでなく,塑像仏や塼仏破片などが出土している。建築遺構の平面形や各種瓦の様式は,上京竜泉府中京顕徳府など,他の渤海の遺構や遺物との共通性を示す(東京城)。さらに,半拉城の遺構や遺物は,唐の長安城(長安)にも通じて,渤海と唐の密接な関連性がうかがえる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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