改訂新版 世界大百科事典 「卓状火山」の意味・わかりやすい解説
卓状火山 (たくじょうかざん)
volcanic table mountain
大陸氷床の下や湖水底で噴火が起こり,山体が成長して水面上に火山島ができることがある。のちに氷床や湖水が引くと,あとに急斜面で囲まれ比較的平坦な頂部をもつ火山体があらわれる。これを卓状火山という。氷床下で噴火が起こるとマグマの熱で氷がとけるため,水底噴火と同様な環境となる。氷期に氷床でおおわれたアイスランドや湖水域が拡大したカナダのブリティッシュ・コロンビアなどに多い。卓状火山の急斜面部分は,水中に出たマグマが急冷されて破片状になり,火口の周りに積もってできる。頂部の比較的平坦な部分は,火口が水面上に出たあとにできた溶岩流~楯状火山の部分である。卓状火山体の水面より上でできた部分の高さから,氷期の氷床上面や湖面の高度が復元できる。
執筆者:中村 一明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報