南佐久郡(読み)みなみさくぐん

日本歴史地名大系 「南佐久郡」の解説

南佐久郡
みなみさくぐん

面積:八五〇・三八平方キロ
川上かわかみ村・南牧みなみまき村・小海こうみ町・南相木みなみあいき村・北相木きたあいき村・八千穂やちほ村・佐久さく町・臼田うすだ

県の東端に位置し、千曲川の上流地域を占める。千曲川は、ほぼ郡の中央を南から北に貫流し、郡北の臼田町は佐久平の南の端を占め、これより千曲川上流地域は臼南きゆうなん地方と呼称されている。佐久町から上流へ向かって東西の山脈はしだいに狭まり、八千穂村から小海町となると全くの渓谷といってよい。郡南の南牧村の東端から千曲川を東にさかのぼり、両岸に多少の平地を展開する川上村を東西に貫いて水源の一つ甲武信こぶし(二四八三メートル)に達する。甲武信岳の北には十文字じゆうもんじ(二〇二〇メートル)新三国しんみくに(一七六〇メートル)三国みくに(一八二八・二メートル)があり、これを越えれば埼玉県である。右岸の支流相木川は、小海町をはずれてすぐ南北に分れ、南北の相木村を作る。北相木川をのぼると武道ぶどう(一五八〇メートル)つが(一六〇〇メートル)があり、その北抜井ぬくい川の上流には十石じつこく(一三五六メートル)大上おおかみ(一一〇〇メートル)矢沢やざわ(一三二〇メートル)余地よじ(一二五八メートル)、更に北にはあま川の上流田口たぐち(一一七五メートル)があり、これらの峠を東へ抜けると群馬県である。

甲武信岳の西に連なる一連の秩父山塊は、北流して千曲川に注ぐあずさ川・金峰山きんぽうさん川・小川・黒沢くろさわ川などの源となり、金峰山の東には大弛おおだるみ(二三六〇メートル)朝日あさひ峠があり、西には信州しんしゆう(一四六四メートル)があってその南は山梨県である。郡の西南部にある南牧村の東部には平沢ひらさわ(一四五〇メートル)があり、峠下の平沢の集落を過ぎれば山梨県に入る。その西には国鉄小海線が、国鉄最高点(一三七四・九メートル)を越えて山梨県に入っている。

郡の西部には八ヶ岳の連山が茅野ちの市との境界をなし、おおむね東北流してこれまた千曲川に向かう板橋いたばし川・杣添そまぞい川・高石たかいし川・川・大月おおつき川・本間ほんま川・大石おおいし川・大岳おおたけ川・片貝かたかい川の源となり、南から夏沢なつざわ(二三九二メートル)中山なかやま(二三二〇メートル)麦草むぎくさ(二一五〇メートル)大石おおいし(二一八五メートル)大河原おおがわら峠となってわずかに諏訪への通路となっている。車の通行の可能な峠は東は新三国峠・武道峠・十石峠・麦草峠・大河原峠・大弛峠・信州峠・平沢峠で、冬期を迎えるとほとんど通行不可能ないしは要注意となる道である。国道一四一号(佐久甲州道)は千曲川の左岸に沿いながら南に進み、野辺山原のべやまはらを越えて山梨県へ抜ける。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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