改訂新版 世界大百科事典 「南条氏」の意味・わかりやすい解説
南条氏 (なんじょううじ)
中世伯耆国の有力国人。所伝によれば,出雲守護佐々木塩冶氏の一族で,その祖貞宗が1366年(正平21・貞治5)河村郡羽衣石(うえし)に城を築いてここに拠ったという。戦国期には周辺の国人・土豪層を自己の家臣団に編成し,河村郡・東伯耆一帯に勢力を張る有力国人へと成長した。尼子経久のため一時城を追われたが,尼子氏の没落とともに旧領を回復。1579年(天正7)羽衣石南条氏と並び称せられた西伯耆杉原氏との対立から上方に誼(よしみ)を通じたため,82年毛利氏に攻められその軍門に下ったが,85年毛利・豊臣秀吉の和睦が成り,南条氏は河村・久米・八橋3郡の領主として再び羽衣石城主の地位を得た。しかし1600年(慶長5)の関ヶ原の戦では西軍について敗走し,このとき,因・伯地方の代表的な山城として知られる羽衣石城は神社仏閣に至るまで灰燼に帰したという。
執筆者:井上 寛司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報