南条郡(読み)なんじようぐん

日本歴史地名大系 「南条郡」の解説

南条郡
なんじようぐん

面積:三四五・二六平方キロ
南条なんじよう町・河野こうの村・今庄いまじよう

越前の南部、日野川上流部に位置し、東南は岐阜県、南は滋賀県、南西は敦賀市に、北東今立郡、北は武生市に接し、西は日本海に臨む。郡域のほとんどは山で、南部の県境にはささヶ峰・美濃俣丸みのまたまる上谷かみたに山など一〇〇〇メートル以上の山がそびえ、郡内にも藤倉ふじくら山・船洞ふなぼら山・ホノケ山など六〇〇メートル以上の山が並び立つ。なお旧郡域は武生市南部をも含んでいた。

南条郡の名は「延喜式」「和名抄」にはみえない。「和名抄」高山寺本にみえる敦賀郡内の鹿かひる郷・従者しとんべ(現今庄町)、また丹生郡内の岡本おかもと(現武生市)が旧南条郡域に比定されているところから、敦賀郡・丹生郡から割郡されて成立したと思われる。その時期は不明だが、中世も遅い頃と思われる。初めは「南仲条郡」と書かれ、慶長三年(一五九八)検地帳にみえるのが最も早く、その郡域は同一一年頃の越前国絵図によって明らかにすることができる。府中町(現武生市)が北限にあって「南仲条郡」域に含まれ、付近一帯の私称であったと思われる府中郡が一般に使用されたため、南仲条郡の公称が遅れたのであろう。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報