日本大百科全書(ニッポニカ) 「単位法」の意味・わかりやすい解説
単位法
たんいほう
諸量を表すのにその基準値を1にとり、これに対する比で表す方法をいう。諸量の間に煩わしい換算の手数を省くことができ、また機器の性能をただちに知りうるという利点があるので、電気回路の計算ではしばしば用いられる。基準値としてよく用いられるのは電圧、電流、インピーダンス、電力、磁束、周波数などであるが、簡単な計算の場合は磁束、周波数を一定に扱うことが多い。たとえば、送電線のインピーダンスzは通常Ω(オーム)の単位で表すが、単位法では
=z×IN/EN
〔p.u.〕(per unit)
のように表す。ここでIN、ENはそれぞれ基準電流、基準電圧をいう。したがってが0.1(p.u.)の場合は、ある回路において基準電流が流れたときの電圧降下(電圧のロスに相当する)が0.1(p.u.)、すなわち10%の電圧降下があることを意味する。もちろん、基準電流の2倍が流れたときの電圧降下は20%となる。このようにインピーダンスをオームという単位でなく、〔p.u.〕という単位で扱うと、電圧降下や短絡電力などの大きさが基準値の比としてただちにわかるので、実務面ではきわめて便利である。単位法を扱うためには、基準値を何にするか、定義などをよく理解しておく必要があるが、いったん慣れると機器の性能をただちに知りうること、各種計算がきわめて簡単になり、その大きさをおおむね推定できるようになる。
[松田高幸]