磁束(読み)ジソク

デジタル大辞泉 「磁束」の意味・読み・例文・類語

じ‐そく【磁束】

磁界の中のある垂直断面を通る磁力線の量。単位ウェーバ

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精選版 日本国語大辞典 「磁束」の意味・読み・例文・類語

じ‐そく【磁束】

  1. 〘 名詞 〙 磁束密度のある空間で磁束密度とそれに垂直な面の面積を掛けた量。コイルを通る磁束が時間的に変化すると、コイルに起電力を生ずる。〔電気工学ポケットブック(1928)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「磁束」の意味・わかりやすい解説

磁束
じそく

磁束密度または磁気誘導をその方向に垂直なある面積について積分した量をいう。単位はCGS単位系ではマクスウェル(記号Mx)、MKS単位系またはSI単位系(国際単位系)ではウェーバー(記号Wb)である。コイルの中を通過する磁束が時間とともに変化すると、その変化の割合に比例した電圧がコイルの両端の間に生じる(電磁誘導法則)。その電圧の向きは、それによって流れる電流の生ずる磁場が磁束の変化を妨げるような向きである。これをレンツの法則という。

 磁束は永久磁石またはコイルに流れる電流によってつくられる。軟鉄または軟磁性体でつくった一周回路に磁束を還流させるとき、この回路を磁気回路といい、電流回路と比較すると、永久磁石または電流の流れているコイルは電池に、また磁束は電流に対応する。磁気を利用する装置では、一般にこのような磁気回路が使われている。

 磁束の最小単位を磁束量子といい、その値は2.07×10-15Wbである。スクイッド(SQUID)とよばれる精密磁束計は、超伝導線でつくった回路の一部の接合部(ジョセフソン接合という)を通って電子対(つい)(クーパー対という)が通過するとき、回路を通過する磁束が磁束量子だけ変化することを利用して、その数を数えて、磁束を精密に測定する装置である。

[近角聡信]

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改訂新版 世界大百科事典 「磁束」の意味・わかりやすい解説

磁束 (じそく)
magnetic flux

磁束密度をある断面にわたって積分したもの。磁心でつくった磁気回路では一定の磁束を回路に沿って運ぶ。磁束が時間とともに変化すると,そのまわりに巻いたコイルには磁束の時間変化の割合に比例した起電力を生ずる。これを電磁誘導の法則という。磁束の単位はMKSA単位ではWb,ガウス単位,CGS電磁単位ではマクスウェル(Mx)を用いる。ジョセフソン効果や電子線干渉などでは,磁束が量子化された磁束量子を単位として現れる。その大きさは前者ではh/2e,後者ではh/eである(hはプランク定数,eは電子の電荷)。
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化学辞典 第2版 「磁束」の解説

磁束
ジソク
magnetic flux

閉曲線Cを縁とする曲面Sの任意の点の法線方向の単位ベクトルをn,その点の磁束密度をBとするとき,

Φ = ∮(Bn)dS

で定義される量Φを,その閉曲線をつらぬく磁束という.ここに,積分は曲面Sについて行う.しかし,

div B = 0
であるから,Φは閉曲線Cだけで決まり,曲面Sの取り方には無関係である.磁束の単位は,国際単位系(SI単位)ではウェーバ(記号 Wb)であり,ガウス単位系ではマクスウェル(記号 Mx)で,

1 Wb = 108 Mx
である.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「磁束」の意味・わかりやすい解説

磁束
じそく
magnetic flux

磁場内に閉曲線Cを縁とする任意の曲面Sを考え,その上の各点における法線方向 (単位ベクトル n ) への磁束密度 B の成分を全面積について積分したもの。すなわち磁束 Φ となる。dS は曲面Sの面要素。磁束の SI単位はウェーバ,ガウス単位はマクスウェルで,1Wb=108Mx である。磁束 Φ が時間的に変化すると曲線Cには -/dt (SI単位) の起電力が誘導される。

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百科事典マイペディア 「磁束」の意味・わかりやすい解説

磁束【じそく】

磁束密度B〔Wb/m2〕の磁場の中に,この磁場と垂直な断面S〔m2〕を考えたとき,B×Sを磁束という。磁束の単位は国際単位系ではウェーバー,CGS電磁単位ではマクスウェル
→関連項目ガウス(単位)電磁誘導

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