朝日日本歴史人物事典 「原玄琢」の解説
原玄琢
生年:寛永8(1631)
江戸前・中期の医師,造林提唱者。隠岐国(島根県)周吉郡元屋村の庄屋の家に生まれる。京都で医学の修業中に吉野山を訪れ,その美林と林業という業種のあるのを知った。帰国後は医業のかたわら,杉,檜の森林経済の方策を提唱し,自らは吉野杉の種子を蒔いてその成育の良好なことを確かめた。当時の村人は植林効果が理解できず,玄琢自身も老齢のため造林に至らなかったが,玄琢の提唱を受けとめた隣村布施村の青年藤野孫一らによって,およそ半世紀後に造林は成功し,今日の布施村美林の源を作ることになった。<参考文献>米田正治『島根県医家列伝』
(松尾寿)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報