厳格な証明(読み)げんかくなしょうめい(その他表記)Strengbeweis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「厳格な証明」の意味・わかりやすい解説

厳格な証明
げんかくなしょうめい
Strengbeweis

刑事訴訟では,犯罪事実証拠能力があり,かつ適法・有効な証拠調べを経た証拠により証明されることが必要とされるが,そのような証明を厳格な証明という。自由な証明 Freibeweisに対する。犯罪構成要件に該当し違法性,有責性の要件を満たす事実のほか,処罰条件や刑の加重減免の理由となる事実については,厳格な証明が必要とされる。これに対し,単なる情状 (量刑の資料となる事実) や訴訟手続上の事実については,自由な証明で足りる。最近は民事訴訟でもこの区別を認め,裁判所の職権調査事項の前提事実などについては自由な証明で足りると解されている。

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世界大百科事典(旧版)内の厳格な証明の言及

【証拠】より

…証拠によって証明すべき対象は,事実であるが,例外的に,裁判所に不明な外国法,慣習法,経験則の存在およびその内容が証拠により確定されることがある。証拠によって証明すべき事実の範囲および程度については,〈厳格な証明〉と〈自由な証明〉の区別がある。刑事訴訟では,適法な証拠に基づき法定の証拠調べを行ってする証明を〈厳格な証明〉といい,公訴事実の存否についてはこれによらなければならない。…

【証明】より

…証明力(または証拠力)が裁判官の心証を強める力をいうのに対し,証拠能力とは証拠として法廷に持ち出しうる適格性をいうので,これが否定されると証拠として考慮される余地がなくなる。このような法で定められた証拠調べの方式に従うものを〈厳格な証明〉,そうでないものを〈自由な証明〉といい,権利や犯罪の存否については厳格な証明が必要だが,訴訟要件や訴訟条件については自由な証明でよいとされている。 裁判官はあらゆる経験則と論理法則によって,証拠を自由に評価して当該事実があったかなかったかを認定する。…

※「厳格な証明」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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