双性イオン(読み)そうせいイオン(英語表記)zwitter ion

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「双性イオン」の意味・わかりやすい解説

双性イオン
そうせいイオン
zwitter ion

酸としても塩基としも作用しうるものを両性電解質という。たとえば,最も簡単なアミノ酸であるグリシンは酸として H2N・CH2COOH⇔H2N・CH2COO-+H+ ,また塩基として H2N・CH2COOH+H+⇔H3+N・CH2COOH のように作用し,プロトン供与体 (酸) ,プロトン受容体 (塩基) としての両方の働きをする。この両反応が同時に生じたとき H3+N・CH2COO- (みかけはプロトンがカルボキシル基よりアミノ基へ移動した形) のように1分子内に正,負の両電荷をもつようなイオンが生じる。このような形のものを双性イオン,あるいは両性イオンという。双性イオンは分子全体としては中性である。アミノ酸の重合体である蛋白質一種の巨大双性イオンと考えられる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android