ニコラウス・クザーヌスの重要な概念。『知ある無知』 De docta ignorantiaにおいて展開されている,神の属性に関する思想。絶対者たる神は有限者のあらゆる対立・矛盾をこえ総合する絶対的,統一的存在である。すなわち可能であるとともに存在であり posse-esse,最大であるとともに最小である maximum-minimum。したがって神は「反対の一致」としてとらえられ,われわれが神に近づきうるのは識別的悟性認識ではなく,「知ある無知」「理解なき直観 visio sine comprehensione」によってである。