収集本能(読み)しゅうしゅうほんのう(その他表記)collecting instinct

日本大百科全書(ニッポニカ) 「収集本能」の意味・わかりやすい解説

収集本能
しゅうしゅうほんのう
collecting instinct

人間の社会的行動を本能によって説明しようとする立場から取り上げられる本能の一つ。人類を含む動物は、生命を維持し種を保存発展させていくためには、非常の場合に備えて食物その他の必要資材を、常時相当量確保しておくことが望ましい。そのような行動が進化過程で習い性になり、生命維持に不可欠なもの以外にも種々な事物収集し蓄えておこうとする衝動、すなわち本能をもつようになったと考えるのである。

 収集本能は人によりさまざまな強さと形をとって現れる。児童期のある期間には、たいていの人が、大人からみればなんの価値もないような品物の収集に熱中した経験をもつであろう。大人になってからも、趣味に基づく郵便切手やその他の収集マニアは少なくない。また収集本能が極端に行きすぎると、吝嗇(りんしょく)家になったり盗癖になったりすることもある。

[辻 正三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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