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衝動 しょうどう impulse

翻訳|impulse

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

衝動
しょうどう
impulse

内部から強迫的に動かされる行為のことで,反省やためらいや意図などの介入する余地がないもの。または,そのような行為を引起す傾向を意味する。精神分析では,特にイドにより規定されている行為をさす。

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デジタル大辞泉の解説

しょう‐どう【衝動】

外から強い力や刺激を受けて心を動かすこと。
動作または行為を行おうとする抑えにくい内部的な欲求。目的が完遂することによって消滅する。「叫びたい衝動に駆られる」「衝動を抑える」

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世界大百科事典 第2版の解説

しょうどう【衝動 impulse】

人の心に働きかけて行動に駆り立てる刺激のこと。その起源はその人の身体に由来することも,意識的・無意識的な心に由来することも,また外界の刺激によることもある。衝動のうち,身体的なものが心に感じられるものを狭く欲動という。また,本能の語が,衝動と同義に用いられる場合と,動物に遺伝的にプログラムされている生得的行動図式を指す場合とがある。衝動が,意志や理性による統御や加工を経ることなしに,そのまま行動として外界に現れてしまうのが〈衝動行為impulsive action〉である。

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大辞林 第三版の解説

しょうどう【衝動】

( 名 ) スル
強く心をつき動かすこと。また、そのように働きかける力。ショック。 「その事件は人々に大きな-を与えた」 「此の事如何に吾が精神を-したるぞ/欺かざるの記 独歩
よく考えないで、発作的・本能的に行動しようとする心の動き。 「一時の-に駆られる」 〔「哲学字彙」(1881年)に英語 impulse の訳語として載る〕

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

衝動
しょうどう
Triebドイツ語

精神分析の用語。身体内部に由来し、精神のなかに到達する興奮の心的表象のことをいう。欲動ともいう。衝動は要求、欲望、動因などと類似の概念で、一般心理学でいう動機のことであるが、精神分析ではとくに衝動という概念が使われる。日本の文献では本能とよばれることもあるが、衝動は能力概念としての本能の意味ではないし、生物的本能のように固定的なものでもない。[外林大作・川幡政道]

フロイトの衝動論

フロイトの衝動論は大別して3期に分けて考えることができる。初期は自我衝動と性衝動の対立による衝動論であり、中期になるとリビドー論となり、後期になると死の衝動(タナトスThanatos)と生の衝動(エロスEros)の対立によって衝動論が構築される。これらの衝動論に一貫しているものは性衝動であり、精神分析の発展によって、外見的に大きな変化がおきているかのようにみえるだけである。方法論的な考え方としては、対立概念によって衝動の構造を明らかにしようとする特色が認められる。[外林大作・川幡政道]
初期
初期においては自己保存の自我衝動と性衝動という二つの衝動が取り上げられ、常識的な意味での食欲と性欲に対応している。しかし、これは二つの衝動を並列的、分類的に考えようとするものではなく、自己保存の自我衝動という考えは、性衝動の発生を明らかにするための手段にほかならない。たとえば、幼児は母親によって授乳されるが、そのとき経験する満足感を指しゃぶりによって再現しようとするのが性衝動の萌芽(ほうが)であるとみなされる。このように、自己保存にはなんの関係もない指しゃぶりが強迫的に繰り返されるところに、性衝動の発生が認められる。[外林大作・川幡政道]
中期
こうした自体愛的な性衝動は身体の一部分、性感帯とよばれる身体部位の刺激によって満足を得るものであるが、身体の一部分でなく、身体全体が性衝動の対象となってくると自己愛がおきてくる。ここで性衝動は一元的にリビドーとよばれ、リビドーは自己自身に向けられたり、他人に向けられたりするものとみなされる。こうした衝動論の展開は、精神分析をヒステリーや強迫神経症の治療だけでなく、精神病(自己愛神経症)にも拡大していこうとする意図のもとに生まれたものである。しかしフロイトが自己愛神経症とよんだ精神病まで精神分析を拡大しようとすると、リビドーとよばれたものは性衝動だけでなく、自己保存の自我衝動をも包括せざるをえないものとなる。自我も性的対象の一つにほかならないからである。[外林大作・川幡政道]
後期
そのため後期になると、自我衝動と性衝動を一括して生の衝動とよび、これに対立する概念として死の衝動が取り上げられる。この死の衝動は、フロイトの基本的な考え方をなしている恒常原則を徹底したものである。恒常原則によれば、心という装置は緊張をできるだけ低い水準に保とうとする、あるいはある一定の水準に保とうとするといわれるが、後者は生の衝動の影響のもとに恒常原則が快感原則へと変容されたものであり、前者が本来の恒常原則の姿である。この意味での恒常原則、すなわち緊張ゼロへの回帰は生命誕生以前の状態、死へと導くものなのである。従来多くの分析家たちは、死の衝動については多くの疑問を投げかけていたが、児童の分析治療を通して死の衝動に臨床的意義を認めたクラインやラカンによって再評価されている。フロイトの衝動論の大きな特色は、衝動の構造を取り上げているところにある。[外林大作・川幡政道]
『フロイト著、小此木啓吾訳「本能とその運命」「快感原則の彼岸」(『フロイト著作集6』所収・1970・人文書院) ▽ローバート・D・ヒンシェルウッド著、福本修・木部則雄・平井正三訳『クリニカル・クライン――クライン派の源泉から現代的展開まで』(1999・誠信書房) ▽フィリップ・ジュリアン著、向井雅明訳『ラカン、フロイトへの回帰――ラカン入門』(2002・誠信書房)』

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世界大百科事典内の衝動の言及

【力積】より

…インパルスともいう。力にそれが作用した時間をかけたベクトル量をいう。力が時間的に変化するときには積分によって,力Ft1からt2までの間の力積と定義すればよい。質点の運動量(質量と速度の積)をpとすると,運動の法則はFdp/dtとかけるので,Fdtdt間の運動量の変化dpに等しく,それを積分した力積は運動量の変化p(t2)-p(t1)に等しい。きわめて短時間のみ作用する撃力ではF(t)は測ることができないので,力積を用いて力の効果を表すのが便利である。…

【行動】より

…それを可能にするのは次のようなメカニズムであると考えられている。まず動物の内部で特定の行動に対する衝動driveまたは動機づけmotivationが高まる。そういう状態において適切な信号を伝えるリリーサー(解発因)に出会うと,生得的解発機構を介してその行動が解発されるというわけである。…

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