口唇炎(読み)こうしんえん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「口唇炎」の意味・わかりやすい解説

口唇炎
こうしんえん

唇紅部(くちびるの赤い部分)が乾燥してかさかさし、ときに浅い亀裂(きれつ)を生ずる疾患で、単独に発症するほか、続発することもある。ビタミンB2やB6欠乏症でおこる場合、口角炎あるいは舌炎、または両者が同時にみられることが多い。口紅リップクリームにかぶれておこる場合(接触皮膚炎)もある。口囲(こうい)赤色湿疹(しっしん)はおもに小児に好発し、初めは唾液(だえき)あるいは食物が刺激性に作用して口の周りに乾燥と緊張感がおこり、そのため絶えず舌で上下の唇をなめ回すようになり、その結果、口囲に境界の比較的明確な円形暗赤色病変をおこす。同時に口唇炎も生ずる。また、年長者であっても口唇部を気にして、なめる、あるいは手指でむしるなどの習慣的刺激を加えている場合がある。カンジダ症による口唇炎や口角炎もあるので注意する必要がある。治療はそれぞれの原因に基づいて行い、たとえばビタミンB2やB6欠乏症を原因としている場合には、これらのビタミンを投与し、食事療法としては色のついた野菜、とくに緑の野菜を食べさせることが必要である。

[伊崎正勝・伊崎誠一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

栄養・生化学辞典 「口唇炎」の解説

口唇炎

 くちびるの炎症

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の口唇炎の言及

【唇】より

…高等な哺乳類のなかでも下顎を複雑に動かす有蹄類や霊長類には,口唇をよく動かすことのできるものが多いが,ヒトだけに紅唇がみられることは,言語の発達に伴う微妙な発音と関係があるのかもしれない。【田隅 本生】
[唇の病気]
 口唇炎はいろいろな原因で生じた口唇部の炎症で,原因には外傷,感染,光線,アレルギーが挙げられるほか,全身性疾患の一症状のこともある。口角炎は,口角潰瘍,口角亀裂ともよばれ,口角の皮膚と粘膜の移行部が白くただれて潰瘍となった状態で,初めは乾燥して放射状に亀裂が生じ出血するが,後に唾液で膨化してはれ潰瘍状になる。…

※「口唇炎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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