ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
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体外の刺激物が皮膚に接触して生ずる湿疹(しっしん)性病変で、俗称かぶれ。刺激物の作用形式、すなわちアレルギー性の機序によるかよらないかでアレルギー性接触皮膚炎と一次性刺激性皮膚炎に大別される。
[伊崎正勝・伊崎誠一]
アレルギーによって生ずる湿疹性病変で、ある刺激物に対して皮膚が感作(かんさ)されて敏感になっている特定の人だけにおこり、湿疹性接触皮膚炎ともいう。皮膚が感作されるのは刺激物に抗原性があるためで、この接触物のことをとくに接触源(抗原、アレルゲン)とよぶ。接触源の接触によって皮膚が感作され、感作成立後に同じ接触源が皮膚に再接触すると、その接触部位に初めて湿疹性病変がおこる。感作されるまでの期間を潜伏期間といい、一般に5日以上とされている。また、再接触後発病までの時間は24~48時間が普通である。
まず接触源の接触部位に限局して紅斑(こうはん)が生じ、多少の浮腫(ふしゅ)(むくみ)が加わり、ついで丘疹(きゅうしん)(ぶつぶつ)、小水疱(すいほう)、膿疱(のうほう)、びらん、痂皮(かひ)(かさぶた)が順次生じ、治癒に向かうと痂皮が脱落し、鱗屑(りんせつ)(細かい角質片)が形成され、やがて瘢痕(はんこん)を残すことなく完全に治癒する。自覚的には普通、激しいかゆみを訴える。通常、湿疹性病変の境界は不明確である。病変部のかぶれは単に赤くなる(紅斑)だけのこともあり、小水疱がたくさんできることもある。この炎症程度の違いは、患者の皮膚の過敏状態の程度の高低、および接触源の濃度や皮膚に対する接触時間の差異による。なお、外傷、熱傷(やけど)、潰瘍(かいよう)などがあると、皮膚は接触源によって感作されやすくなる。
主要な刺激物には次のようなものがある。植物性のものとしては、ウルシ、ツタウルシ、ハゼノキをはじめ、イチョウ(ぎんなん)、イチジク、キク、サクラソウなどがあり、動物性のものには、チョウやガのほか、羊毛のような動物の毛などがある。そのほか、外用医薬品、化粧品、香料、パーマ溶液、洗剤類、しらが染め、薬品類(アクリジン系化合物、サルファ剤、ペニシリンなどの抗生物質など)、農薬、染料、塗料、機械油、揮発油、モルタルなどの化学製品、ゴム手袋、ゴム靴、コンドームなどのゴム製品、ネックレスやイヤリングなどの貴金属およびニッケル・クロム製品(腕時計など)、皮革製品(帽子、ベルト、時計バンド、靴)などがある。
[伊崎正勝・伊崎誠一]
アレルギー性の機序によらず、刺激物の直接作用によって生ずる湿疹性病変で、刺激物が皮膚に接触すると、だれもが例外なくかぶれをおこす。手指、手関節部、前腕が好発部位で、ほとんど発赤だけのこともあるが、高度の腫脹(しゅちょう)(腫(は)れ)を伴ったり、大小の水疱、びらん、痂皮を形成し、さらに潰瘍や壊死(えし)をおこすことがある。また、鱗屑、亀裂(きれつ)(皮膚の割れ目)などの乾燥性変化を主徴とすることもあり、慢性に経過して苔癬(たいせん)化を示すこともある。こうした症状の違いは、刺激物の性質、濃度、接触時間または刺激物にさらされた時間によって定まる。
刺激物としては、石炭酸や硝酸銀の高濃度液、からし、ニンニクなどのように、1回の接触だけでかぶれるものもあり、長時間にわたる接触後に初めてかぶれをおこすものもある。産業用の洗浄剤、清浄剤、溶剤、酸やアルカリ剤、セメント、機械油や潤滑油、ガソリン、ディーゼル油、溶鉱炉用油などがある。さらに家庭では主婦が使用するせっけん類、洗剤類、磨き粉類、熱湯、つや出しワックス類、ガラス磨き類などがある。これらによるかぶれは、表皮が反復性に物理化学的に損傷されることも誘因となり、職業性皮膚炎とよばれることもある。主婦湿疹もその一型と考えることができる。また高度の一次性刺激性皮膚炎は化学熱傷と同じことになる。工業用洗浄剤であるフロン酸による皮膚炎はきわめて重症である。
[伊崎正勝・伊崎誠一]
まず原因の除去がたいせつである。その後、症状の軽い場合は、副腎(ふくじん)皮質ホルモン剤含有クリームまたは軟膏(なんこう)の塗布だけですぐ治る。症状の重い場合は、さらに全身療法として抗ヒスタミン剤を内服する必要がある。また、副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤の併用もときには必要である。
[伊崎正勝・伊崎誠一]
『本田光芳監修、矢島純編『薬疹と接触皮膚炎――目でみる薬の副作用』(1998・薬業時報社)』▽『西岡清編『やさしい皮膚免疫学――免疫学から見た皮膚疾患』(2002・医薬ジャーナル社)』
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
一般に“かぶれ”といわれるもので、外から何かが皮膚に接触して起こる皮膚の炎症反応です。
皮膚に付着した物質の刺激による場合と、アレルギーによる場合があります。原因となるものは多岐にわたりますが、アレルギー性のものでは
触れた部位に一致して紅斑、小丘疹、小
アレルギー性の場合、遅延型過敏症といって原因のものが皮膚についたあと、1~2日して症状が現れます。
原因と思われる物質を薄めたものを背部などに貼り、湿疹の反応が起きるかどうかを検査するパッチテストという方法で原因物質を特定することができます。
原因物質を見つけ出して、触れないように注意します。炎症が強い時はステロイド性の外用薬、かゆみ止めの内服薬などを用います。
皮膚科を受診し、パッチテストなどで原因を探すとともに、炎症の状態に合った外用薬で治療します。
皮膚に接触した物質の刺激、あるいはアレルギーによって生じる皮膚炎です。刺激性接触皮膚炎は刺激物が許容濃度を超えて皮膚についた場合に起こる急性毒性皮膚炎と、弱い刺激の繰り返しで生じる慢性刺激性皮膚炎に分けられます。
アレルギー性接触皮膚炎は、ある物質にアレルギーをもつ人の皮膚にその物質が接触することによって起こる皮膚炎です。また、ある物質が皮膚につくだけでは大丈夫なのに、その物質がついた皮膚に光が当たるとアレルギー反応が起きる光アレルギー性皮膚炎もあります。
急性毒性皮膚炎は酸、アルカリなどの家庭用・業務用化学物質、灯油やガソリン、有機溶剤などが原因になります。通常の使用法では刺激を起こさない製品でも、使用法を誤ると皮膚炎を起こすことがあります。
慢性刺激性皮膚炎は、肌着との
アレルギー性接触皮膚炎は、化粧品、毛染め料、香水、アクセサリーの金属、ゴム製品や皮革の加工に使われる化学物質、植物、果実、外用薬・消毒薬・点眼薬など、身のまわりにある無数のものが原因になりえます(図1)。
刺激性皮膚炎では、刺激が少ない場合には物質が触れた部位に
アレルギー性接触皮膚炎は、原因物質に触れて12時間後ころから局所のかゆみが始まり、次第に丘疹や紅斑が現れ、24~48時間後にははれや、時には水疱などもみられ、その後次第に症状が軽くなっていきます。慢性的に接触皮膚炎を繰り返すと、皮膚は次第に厚い紅斑になっていき、かき傷やかさぶたもみられるようになります。光アレルギー性皮膚炎は、原因物質が皮膚に触れてしかも光が当たったところだけに紅斑とはれがみられます。
思いがけない物質が刺激性あるいはアレルギー性接触皮膚炎の原因になっていることがあるので、皮膚科を受診して症状やその部位から原因物質を推定し、続いてパッチテストで確認します。
原因物質に触れないようにすることが、いちばんよい治療法です。皮膚科を受診して原因物質が含まれている製品を尋ねるとともに、その物質が含まれていない代替製品を紹介してもらってください。
皮膚の炎症やかゆみを和らげるには、ステロイド外用薬の
初めは原因物質が触れたところだけに症状がみられますが、その物質への接触を続けていると範囲が広がって全身に及ぶことがあります。早めに受診して、原因物質を確認することが大切です。
加藤 則人
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
…語源はギリシア語で〈奇妙な皮膚炎〉を意味する。1923年にA.コカが提唱した〈アトピー〉性の素因による皮膚炎という意味で名づけられた。典型的な経過をとる場合,まず乳児期に顔面,頭部にかゆみの強い赤い発疹が現れ,かきこわすと汁が出てくる。やがてこのかゆい発疹は全身の皮膚に広がり,悪化と改善の波をくりかえすようになる。改善したときには,皮膚には赤みはなくなり,梨の肌のようなぶつぶつが背や胸にみられる程度になる。…
…おむつを使用している者,おもに乳児のおむつの部位に生じる接触皮膚炎。尿中の尿素が糞便中の細菌の尿素分解酵素によってアンモニアに変化して,かぶれの原因になるといわれる。…
…したがって,急性湿疹,慢性湿疹には,本来の急性,慢性の意味はまったくなく,より正しくいうなら多形性湿疹,表皮肥厚性湿疹というほうが当たっている。 しかし,先にも述べたように湿疹は病名ではなく症候名であって,しだいに接触皮膚炎contact dermatitisという原理指示的で合理的な病名に代わりつつあるため,〇〇湿疹というようなこれらの名称は歴史的なものとして理解しておくほうがよいであろう。そのような,一見不合理だが伝承されつづけている名称には,このほかにも蕁麻疹(じんましん),狼瘡(ろうそう)などがある。…
※「接触皮膚炎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
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