カンジダ症(読み)カンジダショウ(その他表記)candidiasis

翻訳|candidiasis

デジタル大辞泉 「カンジダ症」の意味・読み・例文・類語

カンジダ‐しょう〔‐シヤウ〕【カンジダ症】

《〈ラテンCandidaカンジダという真菌感染によって起こる病気。口・外陰部ちつなどの粘膜皮膚、消化管内に異常繁殖して、湿疹皮疹下痢腹痛などを起こす。モニリア症

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精選版 日本国語大辞典 「カンジダ症」の意味・読み・例文・類語

カンジダ‐しょう‥シャウ【カンジダ症】

  1. 〘 名詞 〙 ( カンジダは[ラテン語] candida ) カビの一種である子嚢菌類カンジダ属によって起こされる病気の総称。カンジダは正常な皮膚、粘膜に常在し、なんらかの誘因が生じると病気を起こす。モニリア症。

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改訂新版 世界大百科事典 「カンジダ症」の意味・わかりやすい解説

カンジダ症 (カンジダしょう)
candidiasis

真菌の一種であるカンジダ属の菌の感染により発症する疾患のこと。最も多い原因菌はカンジダ・アルビカンスCandida albicansである。この菌は,健康な人の口腔,消化管,腟などにつねに存在するが,菌とヒトとの間に力関係のバランスが保たれている場合にはなんら病変を生じない。しかし,菌が異常に増えた場合やヒトの抵抗力が低下した場合にはじめて病原性を発揮するので,内因性真菌症日和見感染opportunistic fungus infectionの一つと考えられている。発症の誘因として,局所が蒸れたり湿潤するなど菌の発育条件に好ましい状態になった場合や,全身的に糖尿病,血液疾患,栄養障害,悪性腫瘍の合併ないし抗生物質,副腎皮質ホルモン剤,抗癌剤の長期投与などにより免疫力が低下した場合などが知られている。日常よくみられるのは口腔,腟などの粘膜や皮膚の病変で,口腔カンジダ症鵞口瘡(がこうそう)ともいわれ,おもに新生児の口腔粘膜や舌にミルクかす状の偽膜をつくる。腟カンジダ症は,既婚女性に多く,外陰や腟の搔痒(そうよう)感と帯下がみられる。皮膚カンジダ症には次のようなものがある。すなわち(1)乳児寄生菌性紅斑erythema mycoticum infantile 夏季,乳児のおむつの当たる部分が発赤し,膜様の鱗屑(りんせつ)が付着する。〈おむつかぶれ〉と誤りやすい。(2)間擦疹型カンジダ症intertrigo erosiva blastomycetica 陰股部,腋窩(えきか),乳房下,臍部などの間擦部に好発し,紅斑と鱗屑がみられる。(3)指間糜爛(びらん)症erosio interdigitalis blastomycetica 水仕事の多い主婦の第3指間に好発する。白く浸軟しただれる。(4)爪囲(そうい)炎・爪炎 爪囲部が発赤,腫張し,疼痛を伴う。つめが混濁し,変形する,などが多い。また内臓カンジダ症として,食道,胃,腸などに偽膜を伴う潰瘍が多発する消化管カンジダ症や,気管支・肺,中枢神経系,尿路系に病変を生ずることがあるが,まれである。治療に際して誘因の除去に努めることが肝要である。口腔,腟,皮膚カンジダ症にはクロトリマゾール,ミコナゾールなどの外用,内臓カンジダ症には5-フルオロサイトシン,アンホテリシンBなどの全身的な投与が有効である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カンジダ症」の意味・わかりやすい解説

カンジダ症
かんじだしょう

真菌(カビ)の一種であるカンジダ・アルビカンスCandida albicansなどによっておこされる病気。モニリア症ともいう。粘膜、皮膚、肺に多くみられるほか、白血病や癌(がん)などの重篤疾患の末期、あるいはステロイドホルモン剤の使用に際して、全身の諸臓器に広がって病気をおこす。菌は正常な人の消化管や腟(ちつ)にも発育している。

 粘膜カンジダ症には、口内にできた乳白色斑(はん)をふき取ると浅いびらんがみられる鵞口瘡(がこうそう)、口のわきに亀裂(きれつ)ができて口を開くと痛む口角炎、妊婦や糖尿病患者の外陰部や腟に湿疹(しっしん)様皮疹、びらん、まれに潰瘍(かいよう)をつくる外陰腟炎などがある。皮膚カンジダ症には、指のまたがただれる指間びらん症、わきの下や乳房の下に発疹やびらんができる間擦疹、おむつかぶれや水仕事などのあとに湿疹状あるいは紅斑状の病変がみられる皮膚酵母菌症、肛門(こうもん)周囲から会陰(えいん)部にかけてかゆくなる肛囲湿疹、爪(つめ)が変色してぼろぼろになり周囲が赤くはれて痛む爪炎(そうえん)および爪囲炎などがある。内臓カンジダ症は、重篤疾患の末期に併発し、肺によくみられ、気管支肺炎の症状を示す。とくに、高カロリー輸液用に静脈内へカテーテルを留置している患者では、敗血症をおこしやすい。

[福嶋孝吉]

治療

粘膜カンジダ症には抗真菌剤(アムホテリシンBなど)の液剤、軟膏(なんこう)、トローチなどを局所的に用いるが、内服を併用する場合もある。腟カンジダ症にはピマリシンなどの坐薬(ざやく)がある。皮膚カンジダ症には抗真菌剤の液剤、軟膏、粉末剤がよい。内臓カンジダ症にはアムホテリシンBが有効で、静脈内に点滴注射される。

[福嶋孝吉]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カンジダ症」の意味・わかりやすい解説

カンジダ症
カンジダしょう
candidiasis

モニリア症ともいう。真菌の一種のカンジダ属,特にカンジダ・アルビカンス Candida albicansの感染で起る病気の総称。おもに口腔,皮膚,爪,気管支,肺,腟などに病変を生じ,敗血症,心内膜炎を招くこともある。健康人に常在している菌であるが,免疫抵抗力が衰えたときなどに病原性を発揮し,いわゆる日和見 (ひよりみ) 感染症を起す。各種抗生物質の多用で細菌が死滅し,代りに真菌類が増殖するという菌交代現象で誘発されることが多い。アムホテリシンBの注射などを行うほか,局所にゲンチアナバイオレット溶液,トリコマイシン軟膏などを用いる。

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世界大百科事典(旧版)内のカンジダ症の言及

【抗生物質】より

…内服および外用薬として用いられるが,白癬菌以外の真菌症には無効である。(2)トリコマイシン 腟トリコモナスに対する作用を指標として分離され,腟カンジダ症,腟トリコモナス症,白癬菌症その他の皮膚真菌症を主とし,腟錠と軟膏がつくられている。
[抗ウイルス抗生物質]
 日本脳炎,狂犬病,インフルエンザその他のウイルス病に対する抗生物質も探索されているが,まだ使用できる抗生物質は見つかっていない。…

【帯下】より

… 帯下には,排卵時や妊娠時にみられる生理的なものと,病的なものとがある。病的帯下の原因としてはその約80%がトリコモナス症,カンジダ症で,その他,炎症あるいは腫瘍,腟内異物などがある。トリコモナスやカンジダ菌系は,スライドグラスの上に生理食塩水を1滴たらし,それに少量の分泌物を浮遊させて,顕微鏡下で容易に検出することができる。…

※「カンジダ症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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