古言衣延弁(読み)こげんええべん

精選版 日本国語大辞典 「古言衣延弁」の意味・読み・例文・類語

こげんええべん【古言衣延弁】

  1. 江戸末期の語学書。一巻奥村栄実著。文政一二年(一八二九成立天暦九四七‐九五七)以前にはア行・ヤ行のエに音韻上の区別があり、それが万葉仮名の書き分けに反映していることを明らかにしたもの。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「古言衣延弁」の意味・わかりやすい解説

古言衣延弁
こげんええべん

奥村栄実 (てるざね) 著。1巻。文政 12 (1829) 年成立。 1892年刊。楫取魚彦 (かとりなひこ) の『古言梯』の研究を引継ぎながらも,ア行のエとヤ行のエを区別していないことを問題にし,延喜・天暦 (901~956) 頃以前の書物にはア行とヤ行のエが書き分けられていること,すなわち[e]と[je]の音韻的対立があったことを実証した本。ア行のエを表わすかなとヤ行のエを表わすかなをあげ (「衣」と「延」はそのそれぞれの万葉がなの代表) ,次いで当該の音をもつ語を五十音順にあげている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の古言衣延弁の言及

【仮名遣い】より

…また江戸時代の国学者の中には,契沖の学問をついで万葉仮名の用法を詳しく調査し,従来知られていなかった万葉仮名使用上の区別が奈良時代の文献にあることを明らかにし,万葉仮名によって擬古文を記すときの規範にすべきだと考えたものがある。石塚竜麿の《仮字遣奥山路(かなづかいおくのやまみち)》,草鹿砥宣隆(くさかどのぶたか)の《古言別音鈔(こげんべつおんしよう)》,奥村栄実の《古言衣延弁(こげんええべん)》などがそれである。しかし,これは世間に一般的な影響を与えるほどには広まらなかった。…

※「古言衣延弁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android