古言梯(読み)コゲンテイ

デジタル大辞泉 「古言梯」の意味・読み・例文・類語

こげんてい【古言梯】

語学書。1巻。楫取魚彦かとりなひこ著。明和元年(1764)成立契沖仮名遣い書「和字正濫鈔」の不備を補い、その根拠古典から抜き出して整理し、補足説明したもの。

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精選版 日本国語大辞典 「古言梯」の意味・読み・例文・類語

こげんてい【古言梯】

  1. 江戸中期の語学書。一巻楫取魚彦(かとりなひこ)著。明和元年(一七六四)成立、同五年刊。約一七〇〇語を五十音順に配列し、記紀万葉などの古典から典拠をあげて仮名遣いを示した。契沖の「和字正濫抄」を補正したもので、歴史的仮名遣いの普及に力があった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「古言梯」の意味・わかりやすい解説

古言梯
こげんてい

楫取魚彦 (かとりなひこ) 著。1巻。明和1 (1764) 年成立。翌年刊。契沖歴史的かなづかいに基づいて古語を五十音順に配列したかなづかい辞典。契沖の『和字正濫鈔』に典拠の少いことを問題にし,新たな出典をあげながら 1883語を取扱っている。本書は広く世に行われるとともに,各人による補訂増補版が多く生れた。

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世界大百科事典(旧版)内の古言梯の言及

【仮名遣い】より


[契沖仮名遣い]
 江戸時代に入って古い伝統に対する自由な討究の学風が起こり,僧契沖は《万葉集》の研究によってその仮名使用に統一あることを知り,江戸時代のアクセントによっては統一的説明が不可能になっていた定家仮名遣いを不合理なものと断定して,《万葉集》を中心とする古代の仮名用法に従うべきであるとして,みずから《万葉代匠記》に用い,後に《和字正濫鈔(わじしようらんしよう)》(1695),《和字正濫通妨抄(つうぼうしよう)》(1697稿),《和字正濫要略》(1698稿)を著して世に広めた。橘成員が《倭字古今通例全書(わじここんつうれいぜんしよ)》を著してこれに反対したが,論拠が弱く,国学者はこれを相手とせず契沖の説を用い,契沖の説を補って《古言梯(こげんてい)》(楫取魚彦(かとりなひこ)著)が刊行された。《古言梯》はすべて古典に根拠を求めて実例を示したので,契沖の説を奉ずる国学者の間に大いに広まった。…

【辞書】より

…谷川士清(ことすが)の《和訓栞(わくんのしおり)》93巻(1777(安永6)以後の刊行)は古語のほか俗語方言なども収め,五十音順であり,太田全斎の《俚言(りげん)集覧》(増補本は1900)は俗語を集めたもので,アカサ…イキシ…の順で並べてある。 このほか特殊辞書には,語源辞書として松永貞徳の《和句解》(1662∥寛文2),貝原益軒の《日本釈名》(1700∥元禄13),新井白石の《東雅》(1717(享保2)成立),契沖の提唱した歴史的仮名遣いを整理増補した楫取魚彦(かとりなひこ)の《古言梯》(1764(明和1)成立),方言辞書で越谷吾山《物類称呼》5巻(1775∥安永4),類書として寺島良安の《和漢三才図会(ずえ)》105巻(1712(正徳2)成立),山岡浚明の《類聚名物考》(1903‐05)などがある。
[明治時代以後]
 ヨーロッパの辞書の影響を受けて,その体裁にならった辞書が生じた。…

※「古言梯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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