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[契沖仮名遣い]
江戸時代に入って古い伝統に対する自由な討究の学風が起こり,僧契沖は《万葉集》の研究によってその仮名使用に統一あることを知り,江戸時代のアクセントによっては統一的説明が不可能になっていた定家仮名遣いを不合理なものと断定して,《万葉集》を中心とする古代の仮名用法に従うべきであるとして,みずから《万葉代匠記》に用い,後に《和字正濫鈔(わじしようらんしよう)》(1695),《和字正濫通妨抄(つうぼうしよう)》(1697稿),《和字正濫要略》(1698稿)を著して世に広めた。橘成員が《倭字古今通例全書(わじここんつうれいぜんしよ)》を著してこれに反対したが,論拠が弱く,国学者はこれを相手とせず契沖の説を用い,契沖の説を補って《古言梯(こげんてい)》(楫取魚彦(かとりなひこ)著)が刊行された。《古言梯》はすべて古典に根拠を求めて実例を示したので,契沖の説を奉ずる国学者の間に大いに広まった。…
…谷川士清(ことすが)の《和訓栞(わくんのしおり)》93巻(1777(安永6)以後の刊行)は古語のほか俗語方言なども収め,五十音順であり,太田全斎の《俚言(りげん)集覧》(増補本は1900)は俗語を集めたもので,アカサ…イキシ…の順で並べてある。 このほか特殊辞書には,語源辞書として松永貞徳の《和句解》(1662∥寛文2),貝原益軒の《日本釈名》(1700∥元禄13),新井白石の《東雅》(1717(享保2)成立),契沖の提唱した歴史的仮名遣いを整理増補した楫取魚彦(かとりなひこ)の《古言梯》(1764(明和1)成立),方言辞書で越谷吾山《物類称呼》5巻(1775∥安永4),類書として寺島良安の《和漢三才図会(ずえ)》105巻(1712(正徳2)成立),山岡浚明の《類聚名物考》(1903‐05)などがある。
[明治時代以後]
ヨーロッパの辞書の影響を受けて,その体裁にならった辞書が生じた。…
※「古言梯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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