可(賀)茂別雷命(読み)かもわけいかずちのみこと

改訂新版 世界大百科事典 「可(賀)茂別雷命」の意味・わかりやすい解説

可(賀)茂別雷命 (かもわけいかずちのみこと)

賀茂別雷神社(上賀茂社)の祭神賀茂伝説によると玉依姫(比売)(たまよりひめ)が賀茂川に流れ来た丹塗矢(にぬりや)と婚して生んだ神だという。賀茂信仰の原始の姿は貴船の山に来臨する神が賀茂川に恵みの水をもたらすことを祈った御阿礼(みあれ)神事にうかがえる。〈ミアレ〉とは新しい神(この場合は雷神)の誕生をいう。賀茂伝説の基礎にはこの神事があり,ワケイカズチとは,この若い雷神の説話上の名称である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の可(賀)茂別雷命の言及

【賀茂伝説】より

…《釈日本紀》所引の《山城国風土記》逸文にみえる賀茂神社の縁起譚。山城の賀茂建角身(かもたけつのみ)命には,玉依日子(たまよりひこ),玉依姫(比売)(たまよりひめ)の2子があった。タマヨリヒメが瀬見(せみ)の小川(賀茂川の異称)のほとりに遊ぶとき丹塗矢(にぬりや)が川上より流れ下り,これを取って床の辺に挿し置くうちについにはらんで男子を産んだ。長ずるに及び7日7夜の宴を張り,タケツノミがこの子に〈汝が父と思はむ人に此の酒を飲ましめよ〉と言ったところ酒杯をささげて天に向かって祭りをなし,屋根を突き破って昇天した。…

【処女懐胎】より

…処女が,不思議な仕方で妊娠し,異能の男子を出産すること。古代ギリシア・ローマやオリエントをはじめ世界の各地に分布する英雄神話や王の誕生物語に見られるが,母親がすでに結婚している場合には,単なる英雄伝説にすぎず,処女懐胎物語とは区別される。妊娠の手段に,しばしば宗教儀礼や呪術が多用されることも物語に共通しているが,母親が処女であることが,物語要素の第1条件を構成している。処女崇拝あるいは処女の神聖視との関連が指摘されるであろう。…

※「可(賀)茂別雷命」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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