名弘(読み)なびろめ

改訂新版 世界大百科事典 「名弘」の意味・わかりやすい解説

名弘 (なびろめ)

名広目,名披露目とも書き,名前を世間に広めることをいうが,とくに芸人・芸妓改名襲名また商人の新規開業や祖名襲名にあたり,芸名や屋号などを広く喧伝させるため関係者を集め宴を催したり挨拶回りを行ったりすることを指す。芸妓の新造出しや店出しには姉芸者や芸者の三味線などをもって歩く箱屋が付き添い,出入り茶屋や芸者屋に挨拶回りをし,名刺代りと称して名入りの手拭などを配った。芸人も同様にひいき筋に手拭や扇子などを配り歩いたが,舞台で口上披露を行う場合もある。商人の店開きには引札や宣伝うちわを頒布するほか,広目屋と称する,音曲を奏し奇服異装で街頭宣伝をする今日のチンドン屋によって披露をひきたたせた。名びろめはその名を公知・宣伝させるだけでなく,それを広く明らかにすることにより,みずからが今後その名に恥じない行いをすることを衆目に約束する意味があった。なお子どもの名付祝や新嫁の挨拶回りを名びろめと呼ぶところもある。
襲名
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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