向面(読み)むこうづら

精選版 日本国語大辞典 「向面」の意味・読み・例文・類語

むこう‐づら むかふ‥【向面】

〘名〙
① 向かいあっている人の顔。また、向かいあっている人。また、その正面。転じて、単に顔の意にもいう。
洒落本・通気粋語伝(1789)一「おしゃうが酒のむかふづらがなくってさみしい。よびにやりやナ」
真正面から対立するもの。敵側にまわってこちらに反抗する者。相手方敵方
※洒落本・傾城買四十八手(1790)見ぬかれた手「こふ云女郎は〈略〉むかふづらへまはしては、うるさきやつなるべし」
③ 向かって正面の方角場所向こう正面
歌舞伎・暫(1714)「『今即位儀式に、これなるやつばら違勅の刑に行はんと』『すかふべ落す向ふづら』」

むかい‐づら むかひ‥【向面】

〘名〙
向こう側。正面。
※臨済録抄(15C前‐16C中)「境は向いづらのあいてぞ」
② 顔を合わせること。無沙汰しないこと。
毛利家文書‐(年月日不詳)(室町)毛利隆元覚書「只今一かうむかいつらか候てこそと申候つ」

むこうっ‐つら むかふっ‥【向面】

〘名〙 (「横っ面」に対して) 「むこうづら(向面)」の変化した語。

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