呉織(読み)クレハトリ

デジタル大辞泉 「呉織」の意味・読み・例文・類語

くれ‐はとり【織/服】

《「くれはたおり」の音変化。「くれはどり」とも》
[名]
上代漢織あやはとりとともに中国の国から渡来したと伝えられる織工
1がもたらした技術で織った綾模様のある絹織物
「五彩の―、錦のへり五尺の屏風四帖をもて」〈性霊集・三〉
[枕]美しい綾のあるところから、「あや」「あやに」「あやし」にかかる。
「おぼつかないかにと人の―あやむるまでに濡るる袖かな」〈山家集・中〉

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「呉織」の解説

呉織 くれはとり

日本書紀」にみえる宋(中国)の機織り技術者。
応神天皇37年の条に漢織(あやはとり),兄媛(えひめ),弟媛(おとひめ)とともに呉(南朝の宋)から派遣され来日したとある。また雄略天皇14年の条にも同様の記述がみられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「呉織」の意味・わかりやすい解説

呉織
くれはとり

漢織・呉織

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旺文社日本史事典 三訂版 「呉織」の解説

呉織
くれはとり

呉の国から渡来した機織女工。

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世界大百科事典(旧版)内の呉織の言及

【織手】より

…広い意味では織物の織成に従事する技術労働者全体をさすが,古代・中世には平織(ひらおり)の絹や絁(あしぎぬ)ではなく,より高度な技術を要する錦,綾,羅(うすはた)などの高級織物の織成にたずさわる技術労働者に限定して用いられる場合が多い。その源流は中国,朝鮮半島から渡来した技術者集団であり,律令期以前には錦部(にしごり),漢織(あやはとり),呉織(くれはとり)などとよばれた。大宝令制によると,宮廷需要をまかなうために大蔵省所管の織部司(おりべのつかさ)に技術官人として挑文(あやとり)(養老令制では挑文師(あやのし),挑文生(あやのしよう))が置かれ,配下の品部(しなべ)である染戸(そめへ)570戸のうちに錦綾織,呉服部(くれはとり),川(河)内国広絹織人が掌握されていた。…

※「呉織」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」