改訂新版 世界大百科事典 「周波数逓倍」の意味・わかりやすい解説
周波数逓倍 (しゅうはすうていばい)
frequency multiplier
ある周波数の正弦波電圧,または電流を基にして,その整数倍の周波数の正弦波電圧,または電流を発生させること。正弦波電圧,または電流を非線形な特性を有する回路に加えると,その出力には,基本波成分のほかに高調波成分が含まれる。これを基本波の整数倍の周波数の共振回路に加えると,所要倍数の高調波電圧,または電流を得ることができる。非線形な特性の回路としては,B級またはC級増幅器が用いられる。マイクロ波帯では,可変容量ダイオードも多く用いられる。周波数逓倍は,超短波以上の周波数の送信機でよく用いられる。超短波以上の周波数で,周波数の安定した発振を得ることはむずかしい。そのため,水晶発振器などにより低い周波数を発振させ,それを周波数逓倍して所要周波数を得るという方法が用いられる。
執筆者:田中 良明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報