周防鋳銭司遺跡(読み)すおうすぜんじいせき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「周防鋳銭司遺跡」の意味・わかりやすい解説

周防鋳銭司遺跡
すおうすぜんじいせき

山口県山口市大字鋳銭司にある鋳銭司遺跡。 1910年に発見。 66年字大畠の地の発掘で長年大宝が出土し,鋳銭の工房跡のあることが確認された。 71年,同地付近に工場誘致の可否を決めるための予察調査が実施され,広範囲にわたる遺物包含層や柱穴と1個の井戸跡から,土師器 (はじき) と須恵器青磁,鞴口,坩堝,鉄製品,鉱滓や古瓦が出土し,工房跡の実在が指摘された。工場誘致を目的とする記録保存の調査と,遺跡の保存を前提とする調査をめぐって紛争があったが,学会や守る会と市民の努力で,72年国,県,市による分布範囲の確認調査が行われた。平安時代の土器や建物跡の柱穴群と鋳損じの銅銭などが出土し,ほぼ2町域に鋳銭関係の工房や倉庫の遺構の存在が明らかになり,73年3月国の史跡に指定された。同地近辺や大字陶 (すえ) にも,鋳銭関係の遺跡の存在が推定されている。

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