味智郷(読み)みちごう

日本歴史地名大系 「味智郷」の解説

味智郷
みちごう

和名抄」にみえる石川郡八郷の一つ味知みち郷の後身とされる中世郷。「白山之記」に「加賀国石川郡味智郷有一名山、号白山」とみえる。郷内の地名として、森島もりじま(年未詳九月五日「陸友書状」内閣文庫蔵曇花院殿古文書)安養寺あんようじ(永禄九年一〇月六日「白山実蔵坊禅応書状」同文書)などが知られ、郷域は鶴来町北西部を含むとみられる。一方、永正七年(一五一〇)一二月二〇日佐羅さら(現吉野谷村)大勧進が味智郷政所に宛て、免田計三町七段一八歩を注進しており(「白山佐羅宮大勧進田数注文案」同文書)他方で天正一一年(一五八三)四月日の羽柴秀吉禁制(北徴遺文)が「みちの郷七村」に宛てられていることから、七村を吉野谷よしのだに七ヵ村と解して手取川河谷部を郷内に比定する説もある(「加賀志徴」など)

建武元年(一三三四)九月四日の雑訴決断所牒(伏見稲荷神社文書)によると、寿永二年(一一八三)九月日の院庁下文、文治二年(一一八六)九月五日の関東下文・同三年三月の留守所下文、正嘉二年(一二五八)二月二七日勅裁院宣などに基づき、郷内の水田二〇町が京都伏見稲荷社領として安堵されているが、これは応永一八年(一四一一)以後現れる針道はりみち庄に相当するとみられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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