和佐庄(読み)わさのしよう

日本歴史地名大系 「和佐庄」の解説

和佐庄
わさのしよう

紀ノ川南岸、現和佐中わさなか禰宜ねぎくち和佐関戸わさせきどの地域を荘域としたと思われる。上和佐かみわさ庄ともよばれ、東に小倉おぐら庄、西南に下和佐庄がある。

嘉元元年(一三〇三)一〇月日付の歓喜寺住侶等寺領文書紛失状(歓喜寺文書)に「文永元年三月二日大宮殿局以紀伊国和佐庄内下村・南村両村、寄附歓喜寺」とあり、後鳥羽院の宮女大宮局が院の菩提を弔うため、長日護摩料所として文永元年(一二六四)当庄内しも村・みなみ村を歓喜かんぎ寺に寄進したことがわかる。文永五年正月日付の大法師恵鏡伽藍譲状案(同文書)にも「長日光明真言護摩者、奉為 後鳥羽法皇御菩提、為四辻殿 宮御所御沙汰、以紀伊国和佐庄下村・南村両郷為別納地、免庄役在御施入」とみえる。歓喜寺は初め洛中にあったが、大和たちばな寺に寄進されるなどの変遷ののち、元徳二年(一三三〇)当庄内薬徳やくとく寺の恵甄に護摩堂・寺領ともに譲られた(同年四月二三日「橘寺住持法空等堂宇堂領譲状」同文書)

のちに薬徳寺は歓喜寺の名を継承するが(→歓喜寺、文保二年(一三一八)七月八日の沙弥恵性薬徳寺別当職去状(同文書)によると、同寺別当職は恵性の「代々相伝職」であった。この恵性は、嘉暦二年(一三二七)九月三日の僧道覚・沙弥智性連署和与状案(同文書)によれば下村下司孫太郎入道智性のことで、「根本開発領主子孫」であり御家人でもあった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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