西南(読み)せいなん

日本大百科全書(ニッポニカ)「西南」の解説

西南
せいなん / シーナン

中国南西部の地区名。四川(しせん/スーチョワン)、雲南(うんなん/ユンナン)、貴州(きしゅう/コイチョウ)の3省とチベット自治区を含む。地形的には四川盆地、雲貴高原ならびに青蔵高原の一部の川蔵高山峡谷、蔵北高原(チャンタン高原)、蔵南谷地からなる。四川盆地は四川省の東半を占め、平均標高500メートル、「天府之国」とよばれるように地味肥沃(ひよく)な農業地帯を形成し、三国の蜀(しょく)のようにその豊富な物産に依拠した地方政権成立の基盤となった。雲貴高原は貴州全省と雲南省東半を中心とするカルスト高原で、平均標高1000~2000メートル、無数の小盆地からなり、古来さまざまな少数民族の割拠する地域であった。川蔵高山峡谷は四川省西部、チベット自治区東部、雲南省北西部にまたがり、標高は3000~4500メートル、南北に走る高峻(こうしゅん)な山脈間に、瀾滄江(らんそうこう/ランツァンチヤン)、怒江(どこう/ヌーチヤン)、金沙江(きんさこう/チンシャーチヤン)、雅礱江(がろうこう/ヤーロンチヤン)が深い峡谷を刻み、谷壁に広がる森林によって林産資源に富む。チベット自治区北西部の蔵北高原は青蔵高原の中心をなし、平均標高4500メートル、寒冷で乾燥した気候をもち、塩湖、沼沢が多い。チベット自治区南部の蔵南谷地は標高3000~4000メートル、ヤルンズアンボ江が東西に貫流し、自治区内の主要な農牧地帯である。

 本地域は比較的低緯度にあるが、標高が高いため、チベット自治区の大部分を除くと、わりあい温和で湿潤な気候を示す。とくに雲南省東半部は常春の国とよばれ、寒暑の差が少ない。農業も熱帯、亜熱帯の作物の栽培が可能で、雲南省は全国第3位、四川省は全国第7位のサトウキビの産地(1995)である。また雲南省は全国第1位、貴州省は全国第2位のタバコ産地である。植生は照葉樹の生育が多い。四川省の石炭、石油、天然ガス、鉄、貴州省の水銀、石炭、雲南省の銅、錫(すず)、チベット自治区の天然ソーダなど地下資源は豊富で、巨大な包蔵水力とともに、将来本地域の科学的解明が進み、その資源が十分開発されれば、本地域は面目を一新するであろう。

[河野通博]

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精選版 日本国語大辞典「西南」の解説

せい‐なん【西南】

〘名〙 西と南との間にあたる方角。にしみなみ。未申(ひつじさる)の方。南西。また、西と南。
※延喜式(927)三八「十七日観射豊楽殿。〈略〉両侯射席東南各七許丈立賞物床。前鋪蘆弊。其西南大蔵省官人已下座」
※俳諧・冬の日(1685)「西南に桂のはなのつぼむとき〈羽笠〉 蘭のあぶらに卜木(しめき)うつ音〈芭蕉〉」 〔易経‐坤卦〕

にし‐みなみ【西南】

〘名〙 西と南。また、西と南との間の方角。ひつじさる。せいなん。
※宇津保(970‐999頃)沖つ白浪「北東のおとど、左大臣殿の御方、にしみなみ、藤大納言の御かた」

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