和泉志(読み)いずみし

日本歴史地名大系 「和泉志」の解説

和泉志
いずみし

五巻二冊

版本 国立公文書館内閣文庫

解説 日本輿地通志畿内部(通称五畿内志)の和泉国分。五畿内志は六一巻一九冊で、中国の「大明一統志」に倣い、漢文体で叙述され簡潔で要を得た表現。初めに簡単な国絵図を載せ、その国の建置沿革・疆域・形勝・風俗・祥異・租税を記し、郡別に郷名・村里・山川・関梁・土産・藩封・神廟・陵墓仏刹・古蹟・氏族・文苑と章をたて記述する。綿密な史料探訪と周到な史跡踏査のうえに立って考証された地誌。並河誠所(永)関祖衡とともに享保一四年編纂に着手。祖衡の没後誠所が遺志を継ぎ完成させた。幕府の援助もあり、各地域の古文書古写経・金石文などの根本史料を丹念に集め、確実な史料による内容のみを採録する方針を貫いている。精細をきわめた本格的な地誌として最初のものであり、その学問的な編纂態度は、幕府による「新編武蔵風土記稿」などにもかなり影響を与えたという。各国により構成に差異があり、「和泉志」は巻四四から巻四八まで。享保一九年五畿内志が脱稿、幕府に献上され、「和泉志」は「山城志」とともに同二一年刊行。

活字本 大日本地誌大系一八「五畿内志」・「泉州史料」二

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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