唄い骸骨(読み)うたいがいこつ

改訂新版 世界大百科事典 「唄い骸骨」の意味・わかりやすい解説

唄い骸骨 (うたいがいこつ)

自己の犯した罪の因縁報復を主題にした昔話。ある男が歌をうたう髑髏(どくろ)を見つけ,それによって金もうけをする。しかるに髑髏は殿様にのぞまれた時はうたわず,かえってその場で旧悪をあばかれた男は処刑される。髑髏は生前,その男に金を奪われて殺された友人であった,という話。九州,北越,東北,中国地方などの限られた地域に伝えられる。しかし南西諸島,新潟からは比較的多く採集されている。《日本霊異記》《今昔物語集》に類似の話がある。〈ものいう骨〉という型が古くから存在していたことが知られる。ヨーロッパにも〈うたう骨〉という話型がある。日本の伝承では,〈継子と笛〉が,この型に近い。〈唄い骸骨〉のほかにも,うたう髑髏の話はある。その内容は,髑髏の供養や復讐の援助をした人が礼を受ける報恩型である。これらの話には,樹上葬のなごりをとどめる骨掛けや,改葬など葬送習俗が反映しているかもしれない。とくに,南西諸島からこの種の話の報告が多いのには,風葬の習俗との関連が考えられる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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