商品資本(読み)しょうひんしほん(英語表記)Warenkapital; commodity capital

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「商品資本」の意味・わかりやすい解説

商品資本
しょうひんしほん
Warenkapital; commodity capital

マルクス経済学用語で,資本循環過程において貨幣資本生産資本とともに現れる資本の一形態。流通過程において機能する資本であり,自立化した資本形態ではない。その循環の過程は次式のように示される (…は流通過程の中断を示す) 。

始点のW′にはすでに生産された剰余価値が付加されており,その貨幣形態であるG′からWへの転化は,実現された剰余価値 ( Δ G) の追加的生産的消費 (それは労働Aと生産手段 Pm の購入に向けられる) ないしは個人的消費を含むことになる。その意味でこの循環は社会的総資本の循環を示すものとして特に重要な意味をもつ。

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世界大百科事典(旧版)内の商品資本の言及

【貨幣資本】より

…現実に運動している資本は,貨幣(事業開始,継続のための資金,種々の準備金,売上金等),生産資本(原材料,機械設備,労働力等),商品(生産物に代表される)の三つの姿をとっている。マルクス経済学ではこの貨幣形態にある資本を貨幣資本と呼び,それが生産資本や商品資本(生産資本と商品資本とをあわせて〈現実資本wirkliches Kapital〉と呼ぶ)に姿態を変え,再び貨幣の姿に戻るまでを貨幣資本の循環としてとらえ,資本主義的生産システム,とくに〈資本〉の運動の特質を明らかにしようとする。生産資本の循環が資本の固定性,生産の継続性を表し,商品資本の循環が全面的な商品生産社会を開示するのに対して,貨幣資本の循環は,商品売買の形式を通して市場に投下された資金が利潤をともなって回収されるまでを一循環としてとらえることによって,資本主義的生産が商品経済,貨幣経済の発達の中から生まれ,それらに包まれてのみ存在し,発展しうることを示している。…

※「商品資本」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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