問職(読み)といしき

精選版 日本国語大辞典 「問職」の意味・読み・例文・類語

とい‐しきとひ‥【問職】

  1. 〘 名詞 〙 中世荘官職務一つ。また、それに随伴する得分権。港湾などに居住して主として年貢米の輸送保管にあたったもの。のち、各地荘園の問職を兼ねるようになり、専業化した問丸に発展する。問丸職。
    1. [初出の実例]「定置 高野山蓮華乗院御領南部庄御年貢米運送問職事 右、於彼問職者、任代々先規之例」(出典高野山文書‐正平一三年(1358)一〇月一五日・左衛門尉能俊年貢米運送問職置文)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の問職の言及

【問丸】より

…〈問男〉〈問丸〉は〈馬借丸〉などと同じく貴族が身分の下のものを呼ぶ使い方で,それが通称となった。すでに平安末・鎌倉期に淀津,山崎津,木津などの畿内の港津には,荘園領主である権門貴族,寺社などから〈問職(といしき)〉に任命された問丸が,年貢米の保管,売却,船舶の準備,宿所の提供などに従事していた。中には,その反対給付として給免田を与えられていたものもあり,問職は物権化して譲渡の対象となった。…

※「問職」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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