日本大百科全書(ニッポニカ) 「四つ頭の茶会」の意味・わかりやすい解説
四つ頭の茶会
よつがしらのちゃかい
京都建仁(けんにん)寺において開山栄西(えいさい)禅師の誕生忌(4月20日)に催される茶会。禅院茶礼の伝統を今日に伝えるものとされる。四つ頭は四主頭(ししゅちょう)の意で、4人の正客(しょうきゃく)(主位、賓位(ひんい)、正対位、賓対位)が対座する禅院斎宴の着席法である。正客4人にはそれぞれ8人の会衆(相伴(しょうばん)客)がつく。栄西禅師の頂相(ちんそう)を本尊とする三幅対の掛物を掲げ、まず開山禅師への焼香、献茶が行われる。ついで、抹茶の入った天目茶碗(てんもくぢゃわん)が客に配られ、供給(くきゅう)僧が浄瓶(じんびん)を提げて、正客から順に茶碗に湯をついで茶を点(た)てる。南北朝時代、すでにこの種の茶礼が行われていたことが、『太平記』『喫茶往来』などの記事によって知られる。
[筒井紘一]