禅師(読み)ぜんじ

世界大百科事典 第2版の解説

ぜんじ【禅師】

座禅をして禅定に通じている僧に付す称号。禅僧に限定せずに用いられたことがある。すなわち中国では天台宗や浄土系,三階教の僧で禅に通じている人に付し,日本では,弓削道鏡を太政大臣禅師と称し,聖武天皇崩御の756年(天平勝宝8)に宮中へ招かれた126人の僧は〈看病ノ禅師〉であり,また宮中の内道場に供奉する10人の僧は〈内供奉禅師〉と称した。禅僧に限って用いる場合は,禅僧に対する敬称とし,また朝廷から勅諡号(ちよくしごう)として禅僧に諡(おくりな)される〈禅師号〉がある。

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大辞林 第三版の解説

ぜんじ【禅師】

〔「ぜんし」とも〕
僧侶の敬称。
法師・律師に対し、特に禅定ぜんじようを修めた高僧。
日本・中国で、徳の高い禅僧に朝廷から与えられた称号。 → 内供奉ないぐぶ

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

禅師
ぜんじ

インド仏典の漢訳には、律師、経師などと並んでとくに禅定(ぜんじょう)を修する比丘(びく)を禅師とよぶ用法がある。中国、日本では高僧一般への敬称であり、とくに古代日本では病気治しなどの呪的能力をもつ僧を禅師とよんだ(たとえば道鏡禅師)。同時に、禅宗では朝廷から禅師号を賜った者が禅師で、中国では大通禅師(神秀(じんしゅう)、7世紀)、日本では鎌倉建長寺開山の大覚禅師(蘭渓道隆(らんけいどうりゅう))を初例とする。しかし、一般的に有徳の禅僧を禅師と敬称する用い方もある。[奈良康明]

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精選版 日本国語大辞典の解説

ぜ‐じ【禅師】

〘名〙 (「ぜんじ」の撥音「ん」の無表記) =ぜんじ(禅師)
多武峰少将物語(10C中)「ぜじの君、弟子まさりにこそあなれと聞こえ給へば」

ぜん‐じ【禅師】

〘名〙 (古くは「ぜんし」「せんじ」とも)
① 禅定(ぜんじょう)に通達した僧。法師・律師に対していう。また、古代、宮中の内道場に奉仕した一〇人を、内供奉(ないぐぶ)十禅師という。
※書紀(720)敏達六年一一月(前田本訓)「経論(音読)若干(そこはく)巻、并て律師、禅師、〈略〉寺(とら)造る工六ゆ人を献る」
② 高徳の禅僧に朝廷から賜わる称号。禅師号
※平家(13C前)三「育王山の方丈仏照禅師徳光にあひ奉り」
③ 禅定を修する僧。転じて一般に、法師のこと。
※万葉(8C後)二・九六・題詞「久米禅師娉石川郎女時歌五首」

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世界大百科事典内の禅師の言及

【優婆塞・優婆夷】より

…半僧半俗的な生活形態をとり,山林にあって修行し,呪術にたけていた。山岳・山林にいた修験者的な呪術者は〈優婆塞〉とも〈禅師〉ともいわれた。このような宗教者の典型は役小角(えんのおづぬ)(役行者)であり,彼は役優婆塞とよばれている。…

【行者】より

…このような行者は〈験者(げんざ)〉とよばれたが,のちには祈禱師ともよばれた。禅師というのも行者の別称である。【五来 重】。…

【僧】より

…修行者はまた,教団内の役割に応じて,上座(大衆を統率する),維那(寺務をつかさどる),阿闍梨(あじやり)(大衆の教育に当たる),和尚(弟子を養育する)等とよばれ,あるいは法師(在家信者へ説法。布教者),瑜伽師(ゆがし)(禅師。習禅をもっぱらとする者)などの別があった。…

【入定】より

…一つは修行者が山林修行をすることで,空海は山林修行する人を〈入定之賓〉といっている。一般に奈良・平安時代初期には禅定も山林修行を意味しており,山林修行者を禅師と呼んだ。このようなところから山林修行者の死を入定と呼ぶことがあり,これは特別な意味をもつようになった。…

※「禅師」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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