天目茶碗(読み)てんもくぢゃわん

  • てんもくちゃわん
  • 天目茶×碗

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

茶の湯茶碗一種。外開き朝顔型で上部はやや立ちぎみであり,口縁部が外側にそっている器体で,天目釉と通称される黒または柿色の鉄質釉をかけたもの。もと中国,天目山寺院で常用されていたのでこの名が生れたとされ,鎌倉時代に入宋の禅僧が持帰ったのが渡来の初め。室町時代に多数輸入され,瀬戸窯,唐津窯などでも生産を始め,喫茶用の茶碗として愛用された。天目茶碗はのちに種類がふえ,釉色によって黒,黄,白天目 (白釉を使用) など,文様によって文字,梅花,木の葉天目などの多種があるが,黒天目のなかでも曜変 (ようへん) 天目,油滴 (ゆてき) 天目が,日本では古くからことに珍重される。

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デジタル大辞泉の解説

抹茶茶碗の一。擂鉢(すりばち)状で口縁はわずかにくびれ、高台(こうだい)は低く小さい。鎌倉時代に中国浙江(せっこう)天目山の寺院で学んだ留学僧が持ち帰ったところからの名。建盞(けんさん)頂点として古くから珍重され、日本でも瀬戸などで写しが作られた。天目。

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食器・調理器具がわかる辞典の解説

抹茶茶碗の一種。すり鉢のように開いた形で、口縁部はいったん少しすぼまってから再び外に開く「すっぽん口」で、高台(こうだい)は低く小さいもの。後には鉄分を多く含む黒い釉薬を用いたものもいうようになった。◇いずれも鎌倉時代に中国浙江省(せっこうしょう)の天目山に留学した禅僧が、そこで常用していた茶碗を持ち帰ったものとされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

抹茶茶碗の一種。この呼称は、鎌倉時代に中国浙江(せっこう)省の禅寺天目山に学んだ僧侶(そうりょ)が帰国に際して持ち帰った黒釉(こくゆう)のかかった茶碗をわが国で天目とよんだのに始まるとされ、のちにはこの器形(天目形(なり))のものを天目茶碗とよぶようになった。天目茶碗の基本形は、低く小さな輪高台(わこうだい)をもち、すり鉢形で、口縁にスッポン口といわれるくびれのあるのが特徴で、これを天目形という。またその釉は原則として黒釉であるが、のちに白釉(白(はく)天目)も現れた。

 天目茶碗の初めは中国の建窯(福建省建陽県)で焼造された建盞(けんさん)で、文献では五代末期(10世紀中葉)、考古学的発掘調査では北宋(ほくそう)末期(12世紀初頭)が資料の初出である。この建盞はそれまでの青磁にかわって茶碗の王座に位置するようになり、やがて中国全土でその模倣窯が現れたことが近年の四川(しせん)省の窯址(ようし)発掘などで明らかにされている。建盞はわが国ではとくに珍重され、黒釉陶の至芸とうたわれる曜変(ようへん)天目のほか、油滴(ゆてき)天目、禾目(のぎめ)天目、灰被(はいかつぎ)天目に分類されている。建盞に次いで吉州(きっしゅう)窯(江西省)で焼成された玳皮盞(たいひさん)も著名で、これに属するものには玳皮天目、木葉(このは)天目、文字(もじ)天目、梅花(ばいか)天目などがある。建窯が窯中の自然現象で各種の作風をつくりだしたのに対し、吉州窯は釉(ゆう)の二重がけ法によって鼈甲(べっこう)調の巧緻(こうち)を極めた人工文様を案出して、対照の妙を示した。一方、華北の磁州窯では独自の加飾法をくふうして白覆輪(しろふくりん)天目や油滴天目をつくっており、また朝鮮半島には高麗(こうらい)天目(黒(くろ)高麗)がある。わが国では唐物(からもの)茶碗の人気に乗じて鎌倉後期(14世紀)には愛知県の瀬戸窯が黒釉天目茶碗(瀬戸天目)を焼き、桃山時代になると唐津(からつ)焼(黒(くろ)唐津)や美濃(みの)焼(美濃天目)でも天目茶碗が焼造されたが、とくに美濃焼の白釉天目茶碗は白天目とよばれ、初期の志野焼の好資料と目されている。江戸時代に入っても天目茶碗の人気は衰えず全国各地の窯で焼かれ、現在でさえ建盞に倣った黒釉天目茶碗が焼造されている。

[矢部良明]

『小山冨士夫著『陶磁大系38 天目』(1974・平凡社)』

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世界大百科事典内の天目茶碗の言及

【天目】より

…鎌倉時代に中国の浙江省にある天目山の禅院に学んだ僧侶たちが,帰国にあたって持ち帰った黒釉のかかった喫茶用の碗を天目と呼んだのに始まるという。後世この碗形のものを釉調にかかわりなく天目茶碗,天目形と呼び,また黒釉のかかったものを器形に関係なく天目,黒釉を天目釉などと呼んでいる。黒釉のかかった天目は中国,朝鮮,日本,タイ,カンボジアなど東アジア各地で盛んに作られた。…

※「天目茶碗」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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