改訂新版 世界大百科事典 「四一七スト」の意味・わかりやすい解説
四・一七スト (よんいちななスト)
1964年4月17日に実施が計画されたが,中止にいたった公労協の半日統一ストライキ。64年春闘で総評などは〈ヨーロッパ並みの賃金〉をかかげて高額の賃上げの実現をめざしたが,そのなかで公労協は4月17日に,国鉄幹線の全列車を対象とするなど,当時としては空前の半日統一ストを計画した。しかし4月8日になって,日本共産党は〈このストは挑発であり労働者と全民主勢力との統一を破壊する危険性がある〉と発表し(四・八声明),公労協各労組のなかでスト反対活動を全面展開したため,スト体制は大きく混乱した。結果的にはスト前日,池田勇人首相と太田薫総評議長の会見が行われ,公共企業体等の賃上げについて民間賃金の引上げに準拠する,などについて合意が成立して中止された。この民間準拠の原則は賃上げ相場の波及が公認されたことを意味し,不足傾向にある労働市場の動向とも重なって,日本の賃金決定に春闘方式が定着する重要な要素となった。
執筆者:高木 郁朗
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報