四因子公式
よんいんしこうしき
four factor formula
原子炉内で核分裂で発生した中性子が平均して何個の中性子を生み出すかを表す増倍率 k を与える公式。四つの因子の積として表され,無限に大きい原子炉に対し k∞=ηεpf という方程式で示される。実効核分裂中性子数ηは,1個の熱中性子が核燃料に吸収されて核分裂が起こったときに代わって放出される中性子数。高速中性子核分裂増加率εは,核分裂直後の速い中性子が別の核分裂を起こして増加する因子。共鳴を逃れる確率 p は,熱中性子になるまでに共鳴吸収されることを免れる確率。熱中性子利用率 f は熱中性子になってから燃料に吸収される確率。有限の大きさの原子炉に対する k は,k∞ に中性子の漏れない確率を掛けたものになる。濃縮ウラン炉で k∞ =1.35,天然ウラン炉で1< k∞ <1.1が通常の値で,k =1で連鎖反応が実現する臨界状態となる。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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法則の辞典
「四因子公式」の解説
四因子公式【four-factor formula】
原子炉(熱中性子炉)において,中性子のリークがまったくない理想的な場合(つまり大きさ無限大の場合)の増殖率 k∞ は,次の四つの因子の積で表される.この式を四因子公式という.
k∞=ηεpf
ここで η は1中性子吸収当たりの中性子放出数,ε は高速中性子核分裂係数,p は高速中性子のうちでウラン238の共鳴吸収を逃れる確率(つまり熱中性子になる確率である),f は熱中性子の利用比率である.
出典 朝倉書店法則の辞典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の四因子公式の言及
【原子炉】より
…一方,この集合体がかりに無限の広がりをもっているとすれば中性子は漏れようがなく,PfPt=1となるから,この指標はεηpf=k∞となる。k∞を無限大増倍係数,この式を四因子公式という。 以上から,炉心のような中性子増倍体系が臨界になるためには,その組成によって定まるある大きさを必要とすることがわかる。…
※「四因子公式」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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