四愛図(読み)しあいず

日本大百科全書(ニッポニカ) 「四愛図」の意味・わかりやすい解説

四愛図
しあいず

東洋画の画題。東晋(とうしん)の陶淵明(とうえんめい)の愛菊、北宋(ほくそう)の周敦頤(しゅうとんい)(茂叔(もしゅく))の愛蓮(れん)、林逋(りんぽ)の愛梅、黄庭堅(こうていけん)(山谷)の愛蘭(らん)の故事を描いたもので、わが国では室町時代になってから障壁画に描かれるようになり、京都の聚光院(じゅこういん)、愛知県犬山市にある如庵(じょあん)(もと京都建仁寺正伝院にあった茶室)などに桃山時代の遺作がある。なお、故事を主題にせず、菊、蓮(はす)、梅、蘭を一図に描いたものをさすこともある。

[永井信一]

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