回線網(読み)かいせんもう(その他表記)switching network

改訂新版 世界大百科事典 「回線網」の意味・わかりやすい解説

回線網 (かいせんもう)
switching network

電気通信網の構造をトラヒック処理の観点から交換局の配置,ネットワークの形態,回線数などによって表現したものを回線網という。図に代表的な回線網構成を示す。網状回線網は各局間に直通の中継回線を引いた形の回線網で,構成が簡単で交換コストが安くてすむのが特徴であるが,各局間のトラヒック量が少ない場合には回線数が小束に分割されるので伝送系の使用能率は低下する。星状回線網は中継交換機を導入してトラヒックを集束化し,大群化効果によって伝送系の使用能率を向上させた方式であるが,交換コストは中継交換機導入分だけ上昇する。一般に交換コストに対して相対的に伝送コストが安い市内系では,網状回線網が向いており,また伝送コストが高く,伝送回線のトラヒック処理能率が問題となる長距離市外系では,星状回線網が有利になってくる。回線網には,このほかに直線状回線網,環状回線網,ハチの巣状回線網,格子状回線網などもある。

 大規模な通信網では,通信区域を分割して各区域ごとに回線網を構成し,さらにその上部に区域間を結合する上位回線網を配置する。このように多段に積み重ねて構成した回線網を階層構成網という。日本の電話網は4階層構成網からできている。総括局(8局),中心局(約80局),集中局(約560局)は市外中継交換局であり,電話機は端局(約5000局)に収容されている。回線網は星状回線網で構成されており,これを基幹回線という。ただし最上位の総括局間は網状回線網で結合されている。この基幹回線のほかに,トラヒック交流状況に応じて多数のバイパス回線が敷設されており,これを斜回線という。

 近年,通信網がディジタル化され,大型のディジタル交換機も経済的に実現できるようになった。伝送路は光ファイバー化され,伝送コストが低減した。通信トラヒックも増大した。それに伴って通信網の階層数も少なくなってきており,実質的にはほぼ2階層で全国的な回線網が構成されることになるであろう。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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