精選版 日本国語大辞典 「固定楽想」の意味・読み・例文・類語
こてい‐がくそう ‥ガクサウ【固定楽想】
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…ベートーベンの後継者と自らをみなしていた彼は,伝統的な交響曲の形式に,絵画的・詩的要素を加え,標題をもった交響曲を創り出した。そして標題と結びつけて全楽章に変形しつつ反復される〈固定楽想〉の手法を編み出し,リスト,ワーグナー,フランク等に深い影響を与えた。さらに柔軟な旋律構造,機能性よりも表出性を重視した和声法,随所に見られる自由な対位法的書法,またリズムのくふうと並んで,楽器の音色を最大限に活用する管弦楽法の開発,通常オーケストラには用いられぬハープやコーラングレ,新しい楽器などを加えた巨大な編成による表現の幅の拡張を行って,色彩的,感動的な作品を生んだ。…
…ワーグナー自身はライトモティーフの語を否定したが(彼の用語では〈基礎主題Grundthema〉〈予感動機Ahnungsmotiv〉など),この手法は物語の劇的・心理的展開の手段としてきわめて効果的に活用されている。これはベルリオーズの〈固定楽想idée fixe〉をさらに発展させたものであるが,同様の手法は素朴な形ながら既に初期の歌劇から認められ,必ずしもワーグナーの独創ではない。この概念と手法は,後の作曲家のみならず,トーマス・マンら文学者にも大きな影響を与えた。…
※「固定楽想」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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