モチーフ(読み)もちーふ(英語表記)motif フランス語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「モチーフ」の意味・わかりやすい解説

モチーフ
もちーふ
motif フランス語

主題、主調、主想。もともと動機を意味し、絵画彫刻、文学、音楽などの分野で、創作の動機となる作者の内的衝動のこと。創作活動では、ある素材(マテリアル)をもとに一つの主題(テーマ)を確定し、筋立て(プロット)をたてることにより、作品の骨格ができあがる。このとき、素材から主題を導き出す創造的衝動をモチーフということができよう。これが作品の明白な基調となって表現される。装飾的美術では主調となって繰り返される模様のことであり、音楽では、一つの楽想をつくりだす短い旋律であり、楽節を構成する基本的単位である。また、ワーグナーオペラにみられるように、特定の人物や思想に関連して繰り返される主題をライトモチーフLeitmotiv(ドイツ語)という。

[船戸英夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モチーフ」の意味・わかりやすい解説

モチーフ
motif; motive

芸術用語。芸術作品を構成するうえでの基本的な単位ないし作因をさす。主題 subject,テーマとあまり区別なく用いられることもあるが,主題が作品全体を貫き,統一する多かれ少なかれ文学的,物語的性格もち,またテーマがこうした主題をどのように扱い,表現するかという作者の態度,方法とかかわり合っているのに対し,モチーフは作品を形成する個々の単位をさすことが多い。たとえば「ビーナス誕生」は一つの主題であり,この愛の女神の感覚的,精神的,あるいは地上的,天上的いずれの性格を強調するかによってその作品のテーマが決り,またこうしたテーマを実現するうえでの具体的な造形要素 (海,貝,泡など) がモチーフとなる。

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