国井保(読み)くにいほ

日本歴史地名大系 「国井保」の解説

国井保
くにいほ

現水戸市上国井かみくにい・下国井にあたり、平安末期には独立した単位であったと考えられるが、南北朝以後は那珂西郡の郡域に含まれた。弘安大田文・嘉元大田文に「国井保二十六丁五段大」と記される。一一世紀前半常陸介となった源頼信(満仲の子)下総と常陸における声望は「今昔物語集」巻二五の説話によく記されるが、その五男義政について「尊卑分脈」は「号国井、常葉五郎」と注し、孫政広については「常葉又太郎、国井源八、住常陸国」と記す。おそらく義政の代に那珂西郡の国井、吉田よしだ郡の常葉ときわ両郷をその所領とし、政広の代に国井に土着したのであろう。国井保の成立事情については具体的史料に欠けるが、右のような頼信流源氏の勢力を背景にしたものと思われる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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