国民統合(読み)こくみんとうごう(その他表記)national integration

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国民統合」の意味・わかりやすい解説

国民統合
こくみんとうごう
national integration

国民という単一共通のアイデンティティへの統合をいう。今日すべての人々はいずれかの国家に帰属しており,ごく少数の単一民族国家をのぞいて,多くの人々は他民族とともに1国の国民を形成しているのが実情である。したがって,帰属意識のよりどころとして国民と民族は基本的には二者択一的な関係にある。近代西ヨーロッパの国民国家形成の文脈において,近代化の進行とともに国内民族集団は解体し,文化的に均質な国民国家が成立すると考えられた。しかし近年,植民地時代に設定された国境を独立時に継承した新興独立国家のみならず,欧米諸国でも国内民族集団が融合せずに併存し,集団間の紛争が生じている。たとえばスペインのバスク民族運動,フランスのブルターニュ独立運動,カナダケベック独立運動など。1民族が多数を占めている場合,国民統合の度合いは高まるが,国家内の多元的要素の存在が国民統合を必ずしも阻害するものでなく,共通の政治的価値が見出されるならば連邦国家も十分機能しうる。

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