日本大百科全書(ニッポニカ) 「国際錫協定」の意味・わかりやすい解説
国際錫協定
こくさいすずきょうてい
International Tin Agreement
略称ITA。錫の国際市場価格の安定と需給調整などを目的としていた国際商品協定。第二次世界大戦前の錫協定としては1934年に成立したものが知られているが、戦後最初に結ばれた国際錫協定は1956年7月に発効したものである。この錫協定の価格安定化メカニズムは、錫の価格帯を設定し、緩衝在庫の売買と輸出割当てによって市場価格をこの価格帯内に維持しようとするものであった。その後、協定は数次にわたり更改され、同協定に基づいてロンドンに設立された国際錫理事会International Tin Council(ITC)により、錫価格安定のための活動が行われていた。しかし、ITCは非加盟国による大量の輸出などの影響で巨額の債務を抱え90年7月に解散、協定は失効するに至った。
[入江成雄]