地搗歌(読み)じつきうた

改訂新版 世界大百科事典 「地搗歌」の意味・わかりやすい解説

地搗歌 (じつきうた)

日本の民謡土搗歌(どつきうた),胴突歌ともいう。労作歌祝歌(いわいうた)の一種で,家の建築の際などに土台を固めるための地搗き作業に歌われる。地搗き作業は地盤を固める目的のほかに,強力な霊力を土中に搗き込める信仰的な色彩があり,それは地搗きの動作歌詞の中に残っている。また家を建てるめでたさを歌うが,たとえば福島県《相馬土搗唄》の〈ここは大事な大黒柱 頼みますぞえ皆様に〉の歌詞などに祝歌の性格がうかがえる。歌は音頭取りの歌に,綱子たちがはやしことばを唱和する形で歌われる。建築のほか,土搗き作業を伴う道普請池普請・護岸工事などに歌われ,広く全国各地に分布する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の地搗歌の言及

【労作歌】より

… 労作歌には一般に作業を進める刺激として歌うものと,作業の休養の際に歌うものと2種ある。たとえば田植歌や麦搗歌(むぎつきうた),木挽歌(こびきうた),地搗歌(じつきうた),茶摘歌(ちやつみうた),山歌等は前者に,牛追歌,長持歌,駕籠舁歌(かごかきうた)の類は後者に属する。労作歌の中には酒造歌,木挽歌,油絞り歌,漆搔歌(うるしかきうた)等のように,ある一定の期間だけ雇われる季節労働者が歌う〈季節労作歌〉があり,これは比較的共通する歌が多いが,中には〈酒造歌〉のように作業の工程に従って数種の歌があるものもある。…

※「地搗歌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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