地方単独事業(読み)ちほうたんどくじぎょう

知恵蔵 「地方単独事業」の解説

地方単独事業

地方自治体が国の補助を受けずに独自の財源で任意に実施する事業。国から負担金や補助金を受けて実施する補助事業と区別される。全国的な見地から行われる補助事業と異なり、地方単独事業は、地域社会の実情に応じて自らの判断で行われるので、地方自治体の自主性を高めると考えられる。しかし、国の関与が単独事業を促進することもある。地方自治体はバブル期の税収増を背景に、1993年度まで毎年10%を超す伸びで単独事業を増加させてきた。このように地方自治体を単独事業に駆り立てた背景には「起債の緩和と交付税措置」がある。例えば、まちづくり特別対策事業やふるさとづくり事業の場合、その総費用の75%を地方債で賄うことを認め、さらに自治体の財政力に応じて、償還する年度に償還額の30%から50%相当を地方交付税に算入することにした。こうしてわずかの負担で、地域産業・観光センター、総合運動場の建設など大規模の事業を行うことが地方自治体にはできた。しかし、バブル崩壊以降、地方財政も悪化しており、地方単独事業は減少している。

(北山俊哉 関西学院大学教授 / 笠京子 明治大学大学院教授 / 2007年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「地方単独事業」の意味・わかりやすい解説

地方単独事業
ちほうたんどくじぎょう

公共事業うち地方公共団体が国の援助を受けずに,地域の実情に応じて自主的に実施する事業のこと。公共事業は直轄事業,補助事業,地方単独事業に分かれるが,地方単独事業は住民生活にとって身近な道路公園などの整備や,街路整備など地域の特性を生かした町づくりに役立つ事業が中心になっている。

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