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地方公共団体 ちほうこうきょうだんたい

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

地方公共団体
ちほうこうきょうだんたい

一定の地域と住民からなり,その地域内において,自治権に基づき,公の行政を行なうことを目的とする公共団体地方自治法により人格を認められた公法人で,都道府県および市町村普通地方公共団体と,特別区,地方公共団体の組合,財産区,地方開発事業団特別地方公共団体とがある。

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知恵蔵2015の解説

地方公共団体

国の領土の一定地域を基礎とし、その内部の住民を構成員とし、その地域における政治・行政の権能を持つことを国法で認められている団体。一般には(地方)自治体と呼ばれている。また近年は、中央政府に対して地方公共団体の統治機構を地方政府と呼び、中央政府対地方政府および地方政府間の関係を政府間関係(intergovernmental relations)として捉えることが、地方自治概念を構成するうえで有効であると提唱されている。地方自治法は、地方公共団体を、都道府県および市町村の普通地方公共団体と、特別区、地方公共団体の組合、財産区および地方開発事業団の特別地方公共団体に分ける。都道府県と市町村は、共に公選の首長と議会を有する普通地方公共団体であるが、都道府県は市町村と国との間の中間団体の性格を持つ。なお、都道府県と市町村の事務配分において、これまで都道府県は、広域性、統一処理、連絡調整、事務の規模の4つを基準として事務配分してきたが、1999年の地方自治法改正で、「統一処理を要する事務」の基準が廃止されたほか、都道府県から市町村への地域の実情に応じた事務移譲を推進するため、条例によって市町村に事務委託ができるよう特例制度が新設された。

(北山俊哉 関西学院大学教授 / 笠京子 明治大学大学院教授 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

ちほう‐こうきょうだんたい〔チハウ‐〕【地方公共団体】

国の領土の一定の地域を基礎とし、その地域内の住民を構成員として行政を行うために、国から与えられた自治権を行使する団体。都道府県市町村などの普通地方公共団体と、特別区・地方公共団体の組合財産区などの特別地方公共団体とがある。地方自治体地方自治団体地方団体

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百科事典マイペディアの解説

地方公共団体【ちほうこうきょうだんたい】

地方自治体とも。国の一定地域を存立の基礎とし,その地域内の居住滞在者に対して法の認める支配権を行使する団体。地方自治法がその組織と運営に関し定める。普通地方公共団体(都道府県市町村)と特別地方公共団体(特別区財産区等)がある。
→関連項目一般選挙委任事務義務教育費国庫負担法行政機関行政区公営住宅公共団体公平委員会自治省市町村長社会教育法住宅・都市整備公団住民投票消防庁条例地方議会地方公営企業地方交付税地方公務員地方債地方財政直接請求福祉のまちづくり吏員

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世界大百科事典 第2版の解説

ちほうこうきょうだんたい【地方公共団体】

日本国憲法と地方自治法は地方自治制度の組織と運営の原則を定めているが,その構成単位である地域住民によって組織された法人格をもつ地方団体を〈地方公共団体〉と名づけている。第2次大戦前にはこの種の団体は法人格をもっていたが,単に〈地方団体〉と称していた。自治権をもつ公法人であることを明確にするために導入された法令用語である。地方公共団体は,法令上,都道府県と市町村を指す〈普通地方公共団体〉と特別区,地方公共団体の組合,財産区,地方開発事業団等を指す〈特別地方公共団体〉に分類される。

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大辞林 第三版の解説

ちほうこうきょうだんたい【地方公共団体】

一定の地域およびそこに住む住民を存立の基礎とし、その地域における行政事務を住民の自治によって行う団体。都道府県・市町村などの普通地方公共団体と、特別区、地方公共団体の財産区などの特別地方公共団体とがある。地方自治体。地方団体。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

地方公共団体
ちほうこうきょうだんたい

一定地域を存立の基礎とし、その区域に住む住民を構成員として、そこにおける事務を住民の自治によって処理する権能を認められた団体をいう。国とは別の法人格を有する。その種類、権限などについては、その国の政治体制によって異なっている。
 日本では、かつては地方団体とよばれていたが、日本国憲法第8章で「地方公共団体」の語が用いられて以来、法律上こうよばれるようになった。地方自治体、地方自治団体、または単に自治体とよばれることもある。
 明治憲法下では、自治団体としての実質は少なく、官僚的中央集権制の下部団体とされてきた。第二次世界大戦後、地方公共団体を団体自治と住民自治の原則に従って組織・運営することが、民主主義の実現にとってぜひ必要であるという趣旨のもとに、日本国憲法は地方自治の章をとくに設け、地方公共団体の自治を保障した。これに基づいて1947年(昭和22)、地方公共団体の種類・組織・運営に関する事項や、国と地方公共団体との基本的関係を定めた地方自治法が施行された。[池田政章・辻山幸宣]

沿革

日本の地方制度の変遷は次の7時期に分けられる。
 第一期は、大区小区の時期で、1871年(明治4)の廃藩置県により府県を単位として統一され、在来の郡・町村にかわって、府県の下に行政区画としての区が設けられた。この区はのちに大区・小区に分けられ、府県も数度にわたって廃置分合されたが、いちおう形式的な体制が整えられた。
 第二期は、大区小区の制度が形式的で慣習を無視したものであったから、1878年の郡区町村編制法、府県会規則、地方税規則の3新法によって修正が加えられた時期である(区町村会法は1881年に制定)。これらにより、府県の下に旧来の郡・町村を復活、3府(東京・京都・大阪)、5港(横浜・神戸・長崎・新潟・函館(はこだて))、その他人口の集中する地を区とし、区・町村を自治団体とした。公選議員による府県会が設置され、区町村にも区町村会を開くことが認められ、近代的地方制度の基礎が定められた。
 第三期は、1888年に市制と町村制、1890年に府県制、郡制が公布された時期である。郡制は1923年(大正12)に廃止され、府県制、市制、町村制もしばしば改正されたが、第二次世界大戦終了後、地方自治法が施行されるまで続けられた。この地方制度の目的は、中央集権によって国家の基礎を強化することにあり、国の監督の下に自治機能は拘束され、地方団体の自主制と地方住民の自治性とを著しく欠いた官治行政であった。
 第四期は、日本国憲法のもとで地方分権の強化と地方行政の民主化が推進された時期である。第二次世界大戦後の1947年に地方自治法が実施されて、地方分権制による団体自治と住民自治が強化された。さらに、地方自治法について、1947年、1948年、1950年と重要な改正が行われて、地方自治の拡充強化が図られた。占領下における地方自治の理想的形態が追求された時期であった。
 第五期は、1952年、対日講和条約の発効を契機として、地方自治制が再編成期に入る時期である。1952年、1956年の地方自治法の大改正、1954年の警察法の大改正による警察制度の改革、1956年の教育委員会制度の改革などに、中央集権化の方針が示されている。1953年の町村合併促進法により、以後5年間にわたって市町村の再編成が進められた。さらに、1955年末には地方財政再建促進特別措置法が制定され、国の援助を「てこ」として財政統制が強められ、この面からも中央集権化が進められた。1960年ごろに始まる高度成長期には、新中央集権とよばれる動向が顕著になった。すなわち、行政の計画化・技術化の要請に応じて、地域開発の推進、水資源の開発・配分、産業基盤の整備、住宅建設などの行政分野において、国の主導性が発揮され、国の地方出先機関の新設・強化、国の公社・公団の地方進出が提案され、実施された。
 1970年代に入って第六期が始まる。すなわち、高度成長のゆがみが顕在化するにつれ、人間性の回復、環境保護、歴史的文化の尊重といった価値観を背景として、市民運動、住民運動が起こり、それに支えられた住民参加が主張され、「地方の時代」が唱えられた。地方公共団体も、国に先駆けて住民要求にこたえるために積極的に新しい行政分野の開拓と行政処理方式の開発に努力し、身近な政府としての実質を備えるようになってきた。こうした流れのなかで、1975年には東京特別区の区長公選が実施された。他方、前期から進められた中央集権化は、1980年代に入ると、国の財政改革の過程で、高率補助金の補助率削減や地方行政改革の推進という形で進められ、1986年には、首相の執政権強化を意図した職務執行命令訴訟制度の簡略化が提案された(1991年成立)。
 第七期は1990年代に始まる地方分権の時代である。1994年(平成6)には広域連合および中核市の制度を創設する地方自治法改正が行われ、1995年には地方分権推進法に基づいて地方分権推進委員会が設置された。2000年4月からは同委員会の勧告に基づく地方分権一括法が施行され、明治以来の特徴の一つであった中央集権的行政システムが分権的行政システムに転換された。このときの地方自治法改正で新たに特例市の制度が設けられた。2007年には地方分権改革推進委員会が設置され、第二期地方分権改革に着手している。[池田政章・辻山幸宣]

地方公共団体の種類

地方公共団体には、普通地方公共団体と特別地方公共団体とがある。[池田政章・辻山幸宣]
普通地方公共団体
都道府県および市町村をいう。都道府県は、国と市町村の中間に位する広域の地方公共団体であり、市町村とは対等の完全自治体である。ただ市町村を包括する広域地方公共団体として、広域事務、連絡調整事務、補完事務などを処理し、市町村と異なる機能を期待されている点で、若干の差異が認められるにすぎない。明治憲法下のように市町村に対し上位・監督の関係にたたない。現在1都1道2府43県ある。都・道・府・県の名称の差異は沿革的なものにすぎず、府(大阪府・京都府)と県の性格についても法律上の差異はない。ただ、北海道については沿革上、その処理する事務につき若干の特例があり、また、2007年施行の道州制特区推進法により特定広域団体として指定されている。都は、市町村の区域においては府県と差異はないが、特別区(23区)のある地域において、都は市の性格をも有し、そのため都行政の総合的一元化の観点から特別区の権能は制限されている。
 市町村は日本におけるもっとも基礎的な地方公共団体で、都道府県と相互に共同して地方自治行政にあたるのを原則とし、事務を処理するにあたっては互いに競合しないような配慮のもとに、広域的な処理を必要とする事務は、もっぱら都道府県の事務とされ、市町村の事務から除かれている。市・町・村には性格上の相違はなく、市は人口5万以上で一定の都市的要件を備えた地域(あるいは市町村合併特例適用の人口3万以上の地域)、町はその都道府県条例で定められた要件を備えた地域である。なお、村については法律上特別の要件は定められていない。市のうち、政令で指定する人口50万以上の市を政令指定都市(横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、北九州、札幌、川崎、福岡、広島、仙台、千葉、さいたま、静岡、堺、新潟、浜松、岡山:指定年順)といい、本来、都道府県が処理するたてまえとなっている事務を大幅にこれにゆだねるとともに、その監督や区(行政区)の設置について特例を定めている。中核市は人口30万以上の都市に指定される。その権限はほぼ政令指定都市なみであるが、行政区を置く必要はない。2009年4月現在、41市ある。特例市は人口20万以上で指定を受けることができる。騒音、悪臭、振動などの環境基準の設定や開発行為の許可権などの特例がある。2009年4月現在41市が該当する。[池田政章・辻山幸宣]
特別地方公共団体
特別区、地方公共団体の組合、財産区、および地方開発事業団をいう。
 特別区は東京の23区をいい、沿革上、都の内部団体として特別地方公共団体に分類されるが、全体として一つの大都市を形成している実態にかんがみて、原則として市に関する規定が適用される。なお、区長は当初は公選制、1964年(昭和39)から区議会が選任することになっていたが、1974年からふたたび公選制に改められた。なお、2000年の地方自治法の改正で、特別地方公共団体であるが「基礎的な地方公共団体」とされた。
 地方公共団体の組合は、二つ以上の地方公共団体がその事務を共同で処理するために設けられたものであり、2008年7月時点で、一部事務組合(1664)、広域連合(111)、全部事務組合(0)、役場事務組合(0)となっている。
 財産区は、市町村、特別区の一部で財産を有し、もしくは営造物を設けているもので、用水路、公民館、山林などがその例である。
 地方開発事業団は、いくつかの地方公共団体が総合的な計画に基づく事業の実施を委託するために設けられたものである。[池田政章・辻山幸宣]

住民

地方公共団体を構成する人的要素をいう。市町村(特別区を含む)の区域内に住所を有する者は、その市町村およびこれを包括する都道府県の住民となる。人種、国籍のいかんを問わない。住民は、地方公共団体から等しくサービスを受ける権利をもち、その負担を分任する義務を負う。また、日本国民である住民は、選挙権、条例の制定・改廃請求権、事務の監査請求権、議会の解散請求権、解職請求権(リコールの権利)などをもっている。
 なお近年、国会には外国人の地方参政権を認める法案が何度も提出されているが、2009年4月時点で、成立に至っていない。この間、地方公共団体では外国人の公務員就任制限の見直しや、外国人市民代表者会議の設置が行われている。[池田政章・辻山幸宣]

地方公共団体の権能

日本国憲法は、地方公共団体に、その財産を管理し、事務を処理し、行政を執行する権能、および法律の範囲内で条例を制定する権能を与えている(94条)。
 地方公共団体の権能は、自治権の内容をなすもので、地方議会による条例制定権、長による規則の制定・改廃の権能(自治立法権)、自主的に組織を定める権能(自治組織権)、地方税などの賦課徴収などの財政上の権能(自治財政権)などからなる。[池田政章・辻山幸宣]

地方公共団体の事務

地方公共団体は、その存立のため、または住民の福祉を増進するために必要とされる事務(自治事務)のほか、本来国の役割に係るものであるが、国においてその適正な処理をとくに確保する必要がある事務として法令で定めるもの(法定受託事務)を処理する。
 自治事務は固有事務ともよばれ、団体の組織・財務・自治立法に関する事務と、学校・保育所・病院・市場・授産所・と畜場などの設置管理、埋・火葬、ゴミ・し尿処理などの各種事業のほか、バス・地下鉄、ガス事業などの公営企業を含む。法定受託事務は、国道や一級河川の管理、生活保護など、国においてその確実な執行がとくに必要とされるものであり、この事務について各大臣は、よるべき基準(処理基準)を定めることができるとされている。[池田政章・辻山幸宣]

地方公共団体の機関――二元代表制

日本国憲法は、地方公共団体に議事機関として議会を置くこと、議会の議員および長はそれぞれ直接公選すべきことを定めた(93条。二元代表制)。地方自治法は、この規定を受けて首長制を採用し、議決機関としての議会と執行機関としての長とを、ともに住民の意思に基づく機関として対立させ、相互の牽制(けんせい)によって正しい自治を実現するよう配慮している。
執行機関
(1)都道府県の長は知事で、その補助機関として副知事および職員、専門委員が置かれている。明治憲法下においては東京都長官、北海道長官、府県知事は、天皇の勅任による国の官吏であった。
 都道府県知事は現行憲法のもとでは住民の直接公選により選ばれ、日本国民で年齢満30年以上の者は一定の欠格条項に該当しない限り被選挙権を有する(憲法93条2項、地方自治法19条2項)。任期は4年で、国会議員や地方議会議員などと兼ねることはできない。任期満了以前でも、議会の不信任によって退職させられ、地方公共団体の長として十分に民意を代表していないときは、住民の解職請求に基づく住民投票において過半数の同意があれば、その地位を失うことがある。
 都道府県知事は当該都道府県の執行機関として、その事務を管理執行する(たとえば、予算の調整執行、地方税の賦課徴収、会計の監督、財産の管理など)ほか、市町村が処理する自治事務に対して是正勧告を行ったり、市町村の処理する法定受託事務に対して是正の指示を行い、あるいは代執行の手続きをとることができる。
(2)市町村の長は市町村長で、その補助機関として、副市町村長および職員、専門委員が置かれている。市町村長は市町村を外部に対して代表する最高の執行機関である。旧憲法時代の地方制度のもとでは、市町村長は市町村会が選挙するたてまえをとっていたが、現行憲法のもとでは市町村の住民が直接公選する(93条2項)。市町村長に選ばれる資格は、年齢満25年以上の者であるほかは都道府県知事と同じで、そのほか、任期、兼職禁止、地位の喪失についても同様である。
 市町村長は市町村の自治事務を担任し、その職員を指揮監督するのを本来の職務とする。また、本来国が果たすべき役割に係るものであるが、法令によって処理することとされた事務(法定受託事務)をも処理する。
(3)なお、政治的に中立を保って処理することが望まれる分野には、長に従属しない独立の執行機関として次のような委員会および委員が置かれる。都道府県には、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会、公安委員会、都道府県労働委員会、収用委員会、海区漁業調整委員会、内水面漁場管理委員会、監査委員があり、市町村には、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会または公平委員会、農業委員会、固定資産評価審査委員会、監査委員がある。[池田政章・辻山幸宣]
議決機関
地方公共団体の議事機関として、都道府県議会および市町村議会が置かれる。これらは国の立法機関である国会に対し、地方議会または自治体議会とよばれる。明治憲法下の地方議会はドイツの制度に範をとったもので、官治的性格が濃厚であり、府県会はとくに権限が弱かった。日本国憲法のもとでは、地方議会の組織が民主化され、権限も広範となった。地方議会の組織、権限については、地方自治法第6章(89条~138条)に細かく定められている。
(1)組織 議員の定数は地方公共団体ごとに条例で定める。法律は団体規模別にその上限を定めるのみである。上限議員数は、都道府県の場合には40人から120人まで、市町村議会の場合には12人から96人までと定められている。議員は、各地方公共団体の住民により、4年を任期として直接に選挙される。地方議会の議員の選挙権をもつ年齢満25年以上の者は、議員に選挙される資格をもつ。議員は、任期中でも、長が議会を解散した場合、住民から議会の解散請求がなされて住民投票で多数を得た場合、および住民の手でリコールされた場合には、その地位を失う。
(2)権限 地方議会の権限は広範にわたり、条例を制定・改廃し、歳出歳入予算を定め、地方税などの公租公課を課し、財産を取得・処分し、契約を結ぶなどの行為をするほか、事務の管理や執行機関の執行状況について検査し、監査委員に監査を求め、地方公共団体の事務について強制的な調査(100条調査権という)もすることができる。また、副知事、副市町村長および委員会の委員の人事に同意を与える(人事同意権)。
(3)運営 地方議会は、地方公共団体の長が招集し、年4回以内開かれる定例会と、必要がある場合に特定の事項に限って招集される臨時会の区別がある。そのほか、議会運営委員会の議を経て議長から議会招集の請求がある場合や、議員定数の4分の1以上の者から請求がある場合には、長は臨時議会を招集しなければならない。議会の活動は、本会議のほか、部門別に分けられた常任委員会や特別委員会を通じて行われる。地方議会が会議を開くためには、議員定数の半数以上の出席が必要で、一般の議事決定には出席議員の過半数の賛成を必要とする。地方議会の議事は原則として公開される。地方議会は議長1人と副議長1人を選挙する。議会には、議会の庶務をつかさどる議会事務局が置かれる。[池田政章・辻山幸宣]

地方制度の問題点

第二次世界大戦後、地方公共団体を核とする地方制度は、社会情勢の急激な変化に伴い、めまぐるしい変遷を重ねてきてはいるが、現行制度はこれに十分対応しているとはいえず、なお早急に解決を迫られている幾多の問題を抱え込んでいるというのが実状である。それらの問題点を要約すれば次の諸点に求められる。
 第一に、地方分権が実施に移され、地方公共団体の権能が拡充されたにもかかわらず、その成果がいまだみられない。条例制定権の拡大に伴う自治立法機能の向上は、ようやくその緒についたばかりであるし、職員の間の分権時代の行政執務に対する関心も低い。また地方分権改革自体も、税財源問題を先送りするなど「未完」である。
 第二に、大都市およびその周辺への人口と産業の集中により、そこには交通・生活環境、とくに公害問題など緊急に解決を必要とする問題が続出し、人間らしい生存を阻害しているという点である。現実の複雑多様な大都市問題の解決は一朝一夕に成果をあげることの困難な現代の難問である。
 第三に、最近の社会情勢の急激な変化と住民意識の変容に伴い、住民の要望が質的なものへと転換するとともに、住民自らが公共サービスの担い手になる、ワーカーズ・コレクティブworkers collectiveやボランティア、コミュニティ・エンタープライズcommunity enterprise(社会事業)などNPO(民間非営利組織)の活動が増大している。このような「新しい公共」の創造に地方公共団体がいかに対応していくかが問われている。
 第四に、これまで広域圏構想に基づく首都圏整備法(昭和31年法律第83号)、近畿圏整備法(昭和38年法律第129号)、中部圏開発整備法(昭和41年法律第102号)などが制定・施行されたが、これらの施策は、かえって人口と産業の集中をもたらす結果となっている。第一次産業を核とする地域では、人口の減少と高齢化の同時進行で、地方公共団体としての存立さえもおびやかされている。政府は、こうした事態に市町村合併で対処する方針をたて、財政的優遇を含む特例措置を講じて地方公共団体の総数を1000くらいにまで統合することとしている。しかし、規模の拡大によって失われるものも多く、合併、未合併いずれの市町村も、その運営に創意工夫が求められている。これらの諸問題の解決は、日本の地方自治の命運にかかわる重大問題であり、これについて積極的な関心をもつことが、すべての国民に要請されているといえる。[池田政章・辻山幸宣]
『俵静夫著『法律学全集8 地方自治法』(1975・有斐閣) ▽雄川一郎・塩野宏・園部逸夫編『現代行政法大系8 地方自治』(1984・有斐閣) ▽大森弥・佐藤誠三郎編『日本の地方政府』(1986・東京大学出版会) ▽西尾勝・大森弥編著『自治行政要論』(1986・第一法規出版) ▽大石嘉一郎著『近代日本の地方自治』(1990・東京大学出版会) ▽山下茂他著『比較地方自治』増補改訂版(1992・第一法規出版) ▽阿部斉・新藤宗幸著『概説日本の地方自治』(1997・東京大学出版会) ▽日本地方自治研究学会編『地方自治の先端理論』(1998・勁草書房) ▽ハーバート・A・サイモン、クラレンス・E・リドレー著、本田弘訳『行政評価の基準――自治体活動の測定』(1999・北樹出版) ▽村尾信尚・森脇俊雄著『動きだした地方自治体改革』(1999・関西学院大学出版会) ▽中山徹著『地域経済は再生できるか――自治体のあり方を考える』(1999・新日本出版社) ▽片桐昭泰・兼村高文・星野泉編著『地方財政論』(2000・税務経理協会) ▽松本英昭著『新地方自治制度詳解』(2000・ぎょうせい) ▽原田尚彦著『地方自治の法としくみ』全訂3版(2001・学陽書房) ▽今村都南雄編著『現代日本の地方自治』(2006・敬文堂) ▽兼子仁著『新地方自治法』(岩波新書) ▽辻清明著『日本の地方自治』(岩波新書)』

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世界大百科事典内の地方公共団体の言及

【公法人】より

…この観念は,国および公共団体を指す意味で用いられる場合と,国以外の公共団体のみを指す意味で用いられる場合とがある。公共団体とは,地方公共団体(都道府県,市町村など),公の社団法人である公共組合(土地区画整理組合,土地改良区,共済組合など)および公の財団法人たる営造物法人(公社,公団など)である。 国家法人説は,国が私法関係においてあらわれる場合のみならず,公権力を行使するなどの特別の地位において活動する場合においても,国を法人としてとらえようとしたものであり,国を法の拘束のもとにおくという点で積極的な役割を有したが,この場合,国は公法人とよばれることがある。…

【地方財政】より

…地方公共団体の財政のこと。消費者ひとりひとりに個別的な利益を与える財貨やサービス,すなわち,私的財と呼ばれるものは,市場に参加する供給者と需要者との間の売買を通じて提供される。…

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