地方公共団体(読み)ちほうこうきょうだんたい

精選版 日本国語大辞典 「地方公共団体」の意味・読み・例文・類語

ちほう‐こうきょうだんたい チハウ‥【地方公共団体】

〘名〙 国内の一部を区域とし、その区域内に居住する住民に、法律の範囲内で自治的に支配権をもつ団体。都道府県・市町村などの普通地方公共団体と、特別区・地方公共団体の組合・財産区などの特別地方公共団体とがある。組織および運営に関しては地方自治法に規定。地方団体。地方自治体。地方行政団体。
※内務省訓令第二一号‐明治三八年(1905)一〇月一六日(法令全書)「一般民人負荷の緩和を図るが為め、道府県以下地方公共団体に於ては、其事業の緊縮に努め」

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デジタル大辞泉 「地方公共団体」の意味・読み・例文・類語

ちほう‐こうきょうだんたい〔チハウ‐〕【地方公共団体】

国の領土の一定の地域を基礎とし、その地域内の住民を構成員として行政を行うために、国から与えられた自治権を行使する団体。都道府県市町村などの普通地方公共団体と、特別区・地方公共団体の組合財産区などの特別地方公共団体とがある。地方自治体。地方自治団体。地方団体。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「地方公共団体」の意味・わかりやすい解説

地方公共団体
ちほうこうきょうだんたい

一定地域を存立の基礎とし、その区域に住む住民を構成員として、そこにおける事務を住民の自治によって処理する権能を認められた団体をいう。国とは別の法人格を有する。その種類、権限などについては、その国の政治体制によって異なっている。

 日本では、かつては地方団体とよばれていたが、日本国憲法第8章で「地方公共団体」の語が用いられて以来、法律上こうよばれるようになった。地方自治体、地方自治団体、または単に自治体とよばれることもある。

 明治憲法下では、自治団体としての実質は少なく、官僚的中央集権制の下部団体とされてきた。第二次世界大戦後、地方公共団体を団体自治と住民自治の原則に従って組織・運営することが、民主主義の実現にとってぜひ必要であるという趣旨のもとに、日本国憲法は地方自治の章をとくに設け、地方公共団体の自治を保障した。これに基づいて1947年(昭和22)、地方公共団体の種類・組織・運営に関する事項や、国と地方公共団体との基本的関係を定めた地方自治法が施行された。

[池田政章・辻山幸宣]

沿革

日本の地方制度の変遷は次の7時期に分けられる。

 第一期は、大区小区の時期で、1871年(明治4)の廃藩置県により府県を単位として統一され、在来の郡・町村にかわって、府県の下に行政区画としての区が設けられた。この区はのちに大区・小区に分けられ、府県も数度にわたって廃置分合されたが、いちおう形式的な体制が整えられた。

 第二期は、大区小区の制度が形式的で慣習を無視したものであったから、1878年の郡区町村編制法、府県会規則、地方税規則の3新法によって修正が加えられた時期である(区町村会法は1881年に制定)。これらにより、府県の下に旧来の郡・町村を復活、3府(東京・京都・大阪)、5港(横浜・神戸・長崎・新潟・函館(はこだて))、その他人口の集中する地を区とし、区・町村を自治団体とした。公選議員による府県会が設置され、区町村にも区町村会を開くことが認められ、近代的地方制度の基礎が定められた。

 第三期は、1888年に市制と町村制、1890年に府県制、郡制が公布された時期である。郡制は1923年(大正12)に廃止され、府県制、市制、町村制もしばしば改正されたが、第二次世界大戦終了後、地方自治法が施行されるまで続けられた。この地方制度の目的は、中央集権によって国家の基礎を強化することにあり、国の監督の下に自治機能は拘束され、地方団体の自主制と地方住民の自治性とを著しく欠いた官治行政であった。

 第四期は、日本国憲法のもとで地方分権の強化と地方行政の民主化が推進された時期である。第二次世界大戦後の1947年に地方自治法が実施されて、地方分権制による団体自治と住民自治が強化された。さらに、地方自治法について、1947年、1948年、1950年と重要な改正が行われて、地方自治の拡充強化が図られた。占領下における地方自治の理想的形態が追求された時期であった。

 第五期は、1952年、対日講和条約の発効を契機として、地方自治制が再編成期に入る時期である。1952年、1956年の地方自治法の大改正、1954年の警察法の大改正による警察制度の改革、1956年の教育委員会制度の改革などに、中央集権化の方針が示されている。1953年の町村合併促進法により、以後5年間にわたって市町村の再編成が進められた。さらに、1955年末には地方財政再建促進特別措置法が制定され、国の援助を「てこ」として財政統制が強められ、この面からも中央集権化が進められた。1960年ごろに始まる高度成長期には、新中央集権とよばれる動向が顕著になった。すなわち、行政の計画化・技術化の要請に応じて、地域開発の推進、水資源の開発・配分、産業基盤の整備、住宅建設などの行政分野において、国の主導性が発揮され、国の地方出先機関の新設・強化、国の公社・公団の地方進出が提案され、実施された。

 1970年代に入って第六期が始まる。すなわち、高度成長のゆがみが顕在化するにつれ、人間性の回復、環境保護、歴史的文化の尊重といった価値観を背景として、市民運動、住民運動が起こり、それに支えられた住民参加が主張され、「地方の時代」が唱えられた。地方公共団体も、国に先駆けて住民要求にこたえるために積極的に新しい行政分野の開拓と行政処理方式の開発に努力し、身近な政府としての実質を備えるようになってきた。こうした流れのなかで、1975年には東京特別区の区長公選が実施された。他方、前期から進められた中央集権化は、1980年代に入ると、国の財政改革の過程で、高率補助金の補助率削減や地方行政改革の推進という形で進められ、1986年には、首相の執政権強化を意図した職務執行命令訴訟制度の簡略化が提案された(1991年成立)。

 第七期は1990年代に始まる地方分権の時代である。1994年(平成6)には広域連合および中核市の制度を創設する地方自治法改正が行われ、1995年には地方分権推進法に基づいて地方分権推進委員会が設置された。2000年4月からは同委員会の勧告に基づく地方分権一括法が施行され、明治以来の特徴の一つであった中央集権的行政システムが分権的行政システムに転換された。このときの地方自治法改正で新たに特例市の制度が設けられた。2007年には地方分権改革推進委員会が設置され、第二期地方分権改革に着手している。

[池田政章・辻山幸宣]

地方公共団体の種類

地方公共団体には、普通地方公共団体と特別地方公共団体とがある。

[池田政章・辻山幸宣]

普通地方公共団体

都道府県および市町村をいう。都道府県は、国と市町村の中間に位する広域の地方公共団体であり、市町村とは対等の完全自治体である。ただ市町村を包括する広域地方公共団体として、広域事務、連絡調整事務、補完事務などを処理し、市町村と異なる機能を期待されている点で、若干の差異が認められるにすぎない。明治憲法下のように市町村に対し上位・監督の関係にたたない。現在1都1道2府43県ある。都・道・府・県の名称の差異は沿革的なものにすぎず、府(大阪府・京都府)と県の性格についても法律上の差異はない。ただ、北海道については沿革上、その処理する事務につき若干の特例があり、また、2007年施行の道州制特区推進法により特定広域団体として指定されている。都は、市町村の区域においては府県と差異はないが、特別区(23区)のある地域において、都は市の性格をも有し、そのため都行政の総合的一元化の観点から特別区の権能は制限されている。

 市町村は日本におけるもっとも基礎的な地方公共団体で、都道府県と相互に共同して地方自治行政にあたるのを原則とし、事務を処理するにあたっては互いに競合しないような配慮のもとに、広域的な処理を必要とする事務は、もっぱら都道府県の事務とされ、市町村の事務から除かれている。市・町・村には性格上の相違はなく、市は人口5万以上で一定の都市的要件を備えた地域(あるいは市町村合併特例適用の人口3万以上の地域)、町はその都道府県条例で定められた要件を備えた地域である。なお、村については法律上特別の要件は定められていない。市のうち、政令で指定する人口50万以上の市を政令指定都市(横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、北九州、札幌、川崎、福岡、広島、仙台、千葉、さいたま、静岡、堺、新潟、浜松、岡山:指定年順)といい、本来、都道府県が処理するたてまえとなっている事務を大幅にこれにゆだねるとともに、その監督や区(行政区)の設置について特例を定めている。中核市は人口30万以上の都市に指定される。その権限はほぼ政令指定都市なみであるが、行政区を置く必要はない。2009年4月現在、41市ある。特例市は人口20万以上で指定を受けることができる。騒音、悪臭、振動などの環境基準の設定や開発行為の許可権などの特例がある。2009年4月現在41市が該当する。

[池田政章・辻山幸宣]

特別地方公共団体

特別区、地方公共団体の組合、財産区、および地方開発事業団をいう。

 特別区は東京の23区をいい、沿革上、都の内部団体として特別地方公共団体に分類されるが、全体として一つの大都市を形成している実態にかんがみて、原則として市に関する規定が適用される。なお、区長は当初は公選制、1964年(昭和39)から区議会が選任することになっていたが、1974年からふたたび公選制に改められた。なお、2000年の地方自治法の改正で、特別地方公共団体であるが「基礎的な地方公共団体」とされた。

 地方公共団体の組合は、二つ以上の地方公共団体がその事務を共同で処理するために設けられたものであり、2008年7月時点で、一部事務組合(1664)、広域連合(111)、全部事務組合(0)、役場事務組合(0)となっている。

 財産区は、市町村、特別区の一部で財産を有し、もしくは営造物を設けているもので、用水路、公民館、山林などがその例である。

 地方開発事業団は、いくつかの地方公共団体が総合的な計画に基づく事業の実施を委託するために設けられたものである。

[池田政章・辻山幸宣]

住民

地方公共団体を構成する人的要素をいう。市町村(特別区を含む)の区域内に住所を有する者は、その市町村およびこれを包括する都道府県の住民となる。人種、国籍のいかんを問わない。住民は、地方公共団体から等しくサービスを受ける権利をもち、その負担を分任する義務を負う。また、日本国民である住民は、選挙権、条例の制定・改廃請求権、事務の監査請求権、議会の解散請求権、解職請求権(リコールの権利)などをもっている。

 なお近年、国会には外国人の地方参政権を認める法案が何度も提出されているが、2009年4月時点で、成立に至っていない。この間、地方公共団体では外国人の公務員就任制限の見直しや、外国人市民代表者会議の設置が行われている。

[池田政章・辻山幸宣]

地方公共団体の権能

日本国憲法は、地方公共団体に、その財産を管理し、事務を処理し、行政を執行する権能、および法律の範囲内で条例を制定する権能を与えている(94条)。

 地方公共団体の権能は、自治権の内容をなすもので、地方議会による条例制定権、長による規則の制定・改廃の権能(自治立法権)、自主的に組織を定める権能(自治組織権)、地方税などの賦課徴収などの財政上の権能(自治財政権)などからなる。

[池田政章・辻山幸宣]

地方公共団体の事務

地方公共団体は、その存立のため、または住民の福祉を増進するために必要とされる事務(自治事務)のほか、本来国の役割に係るものであるが、国においてその適正な処理をとくに確保する必要がある事務として法令で定めるもの(法定受託事務)を処理する。

 自治事務は固有事務ともよばれ、団体の組織・財務・自治立法に関する事務と、学校・保育所・病院・市場・授産所・と畜場などの設置管理、埋・火葬、ゴミ・し尿処理などの各種事業のほか、バス・地下鉄、ガス事業などの公営企業を含む。法定受託事務は、国道や一級河川の管理、生活保護など、国においてその確実な執行がとくに必要とされるものであり、この事務について各大臣は、よるべき基準(処理基準)を定めることができるとされている。

[池田政章・辻山幸宣]

地方公共団体の機関――二元代表制

日本国憲法は、地方公共団体に議事機関として議会を置くこと、議会の議員および長はそれぞれ直接公選すべきことを定めた(93条。二元代表制)。地方自治法は、この規定を受けて首長制を採用し、議決機関としての議会と執行機関としての長とを、ともに住民の意思に基づく機関として対立させ、相互の牽制(けんせい)によって正しい自治を実現するよう配慮している。

執行機関

(1)都道府県の長は知事で、その補助機関として副知事および職員、専門委員が置かれている。明治憲法下においては東京都長官、北海道長官、府県知事は、天皇の勅任による国の官吏であった。

 都道府県知事は現行憲法のもとでは住民の直接公選により選ばれ、日本国民で年齢満30年以上の者は一定の欠格条項に該当しない限り被選挙権を有する(憲法93条2項、地方自治法19条2項)。任期は4年で、国会議員や地方議会議員などと兼ねることはできない。任期満了以前でも、議会の不信任によって退職させられ、地方公共団体の長として十分に民意を代表していないときは、住民の解職請求に基づく住民投票において過半数の同意があれば、その地位を失うことがある。

 都道府県知事は当該都道府県の執行機関として、その事務を管理執行する(たとえば、予算の調整執行、地方税の賦課徴収、会計の監督、財産の管理など)ほか、市町村が処理する自治事務に対して是正勧告を行ったり、市町村の処理する法定受託事務に対して是正の指示を行い、あるいは代執行の手続きをとることができる。

(2)市町村の長は市町村長で、その補助機関として、副市町村長および職員、専門委員が置かれている。市町村長は市町村を外部に対して代表する最高の執行機関である。旧憲法時代の地方制度のもとでは、市町村長は市町村会が選挙するたてまえをとっていたが、現行憲法のもとでは市町村の住民が直接公選する(93条2項)。市町村長に選ばれる資格は、年齢満25年以上の者であるほかは都道府県知事と同じで、そのほか、任期、兼職禁止、地位の喪失についても同様である。

 市町村長は市町村の自治事務を担任し、その職員を指揮監督するのを本来の職務とする。また、本来国が果たすべき役割に係るものであるが、法令によって処理することとされた事務(法定受託事務)をも処理する。

(3)なお、政治的に中立を保って処理することが望まれる分野には、長に従属しない独立の執行機関として次のような委員会および委員が置かれる。都道府県には、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会、公安委員会、都道府県労働委員会、収用委員会、海区漁業調整委員会、内水面漁場管理委員会、監査委員があり、市町村には、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会または公平委員会、農業委員会、固定資産評価審査委員会、監査委員がある。

[池田政章・辻山幸宣]

議決機関

地方公共団体の議事機関として、都道府県議会および市町村議会が置かれる。これらは国の立法機関である国会に対し、地方議会または自治体議会とよばれる。明治憲法下の地方議会はドイツの制度に範をとったもので、官治的性格が濃厚であり、府県会はとくに権限が弱かった。日本国憲法のもとでは、地方議会の組織が民主化され、権限も広範となった。地方議会の組織、権限については、地方自治法第6章(89条~138条)に細かく定められている。

(1)組織 議員の定数は地方公共団体ごとに条例で定める。法律は団体規模別にその上限を定めるのみである。上限議員数は、都道府県の場合には40人から120人まで、市町村議会の場合には12人から96人までと定められている。議員は、各地方公共団体の住民により、4年を任期として直接に選挙される。地方議会の議員の選挙権をもつ年齢満25年以上の者は、議員に選挙される資格をもつ。議員は、任期中でも、長が議会を解散した場合、住民から議会の解散請求がなされて住民投票で多数を得た場合、および住民の手でリコールされた場合には、その地位を失う。

(2)権限 地方議会の権限は広範にわたり、条例を制定・改廃し、歳出歳入予算を定め、地方税などの公租公課を課し、財産を取得・処分し、契約を結ぶなどの行為をするほか、事務の管理や執行機関の執行状況について検査し、監査委員に監査を求め、地方公共団体の事務について強制的な調査(100条調査権という)もすることができる。また、副知事、副市町村長および委員会の委員の人事に同意を与える(人事同意権)。

(3)運営 地方議会は、地方公共団体の長が招集し、年4回以内開かれる定例会と、必要がある場合に特定の事項に限って招集される臨時会の区別がある。そのほか、議会運営委員会の議を経て議長から議会招集の請求がある場合や、議員定数の4分の1以上の者から請求がある場合には、長は臨時議会を招集しなければならない。議会の活動は、本会議のほか、部門別に分けられた常任委員会や特別委員会を通じて行われる。地方議会が会議を開くためには、議員定数の半数以上の出席が必要で、一般の議事決定には出席議員の過半数の賛成を必要とする。地方議会の議事は原則として公開される。地方議会は議長1人と副議長1人を選挙する。議会には、議会の庶務をつかさどる議会事務局が置かれる。

[池田政章・辻山幸宣]

地方制度の問題点

第二次世界大戦後、地方公共団体を核とする地方制度は、社会情勢の急激な変化に伴い、めまぐるしい変遷を重ねてきてはいるが、現行制度はこれに十分対応しているとはいえず、なお早急に解決を迫られている幾多の問題を抱え込んでいるというのが実状である。それらの問題点を要約すれば次の諸点に求められる。

 第一に、地方分権が実施に移され、地方公共団体の権能が拡充されたにもかかわらず、その成果がいまだみられない。条例制定権の拡大に伴う自治立法機能の向上は、ようやくその緒についたばかりであるし、職員の間の分権時代の行政執務に対する関心も低い。また地方分権改革自体も、税財源問題を先送りするなど「未完」である。

 第二に、大都市およびその周辺への人口と産業の集中により、そこには交通・生活環境、とくに公害問題など緊急に解決を必要とする問題が続出し、人間らしい生存を阻害しているという点である。現実の複雑多様な大都市問題の解決は一朝一夕に成果をあげることの困難な現代の難問である。

 第三に、最近の社会情勢の急激な変化と住民意識の変容に伴い、住民の要望が質的なものへと転換するとともに、住民自らが公共サービスの担い手になる、ワーカーズ・コレクティブworkers collectiveやボランティア、コミュニティ・エンタープライズcommunity enterprise(社会事業)などNPO(民間非営利組織)の活動が増大している。このような「新しい公共」の創造に地方公共団体がいかに対応していくかが問われている。

 第四に、これまで広域圏構想に基づく首都圏整備法(昭和31年法律第83号)、近畿圏整備法(昭和38年法律第129号)、中部圏開発整備法(昭和41年法律第102号)などが制定・施行されたが、これらの施策は、かえって人口と産業の集中をもたらす結果となっている。第一次産業を核とする地域では、人口の減少と高齢化の同時進行で、地方公共団体としての存立さえもおびやかされている。政府は、こうした事態に市町村合併で対処する方針をたて、財政的優遇を含む特例措置を講じて地方公共団体の総数を1000くらいにまで統合することとしている。しかし、規模の拡大によって失われるものも多く、合併、未合併いずれの市町村も、その運営に創意工夫が求められている。これらの諸問題の解決は、日本の地方自治の命運にかかわる重大問題であり、これについて積極的な関心をもつことが、すべての国民に要請されているといえる。

[池田政章・辻山幸宣]

『俵静夫著『法律学全集8 地方自治法』(1975・有斐閣)』『雄川一郎・塩野宏・園部逸夫編『現代行政法大系8 地方自治』(1984・有斐閣)』『大森弥・佐藤誠三郎編『日本の地方政府』(1986・東京大学出版会)』『西尾勝・大森弥編著『自治行政要論』(1986・第一法規出版)』『大石嘉一郎著『近代日本の地方自治』(1990・東京大学出版会)』『山下茂他著『比較地方自治』増補改訂版(1992・第一法規出版)』『阿部斉・新藤宗幸著『概説日本の地方自治』(1997・東京大学出版会)』『日本地方自治研究学会編『地方自治の先端理論』(1998・勁草書房)』『ハーバート・A・サイモン、クラレンス・E・リドレー著、本田弘訳『行政評価の基準――自治体活動の測定』(1999・北樹出版)』『村尾信尚・森脇俊雄著『動きだした地方自治体改革』(1999・関西学院大学出版会)』『中山徹著『地域経済は再生できるか――自治体のあり方を考える』(1999・新日本出版社)』『片桐昭泰・兼村高文・星野泉編著『地方財政論』(2000・税務経理協会)』『松本英昭著『新地方自治制度詳解』(2000・ぎょうせい)』『原田尚彦著『地方自治の法としくみ』全訂3版(2001・学陽書房)』『今村都南雄編著『現代日本の地方自治』(2006・敬文堂)』『兼子仁著『新地方自治法』(岩波新書)』『辻清明著『日本の地方自治』(岩波新書)』

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改訂新版 世界大百科事典 「地方公共団体」の意味・わかりやすい解説

地方公共団体 (ちほうこうきょうだんたい)

日本国憲法と地方自治法は地方自治制度の組織と運営の原則を定めているが,その構成単位である地域住民によって組織された法人格をもつ地方団体を〈地方公共団体〉と名づけている。第2次大戦前にはこの種の団体は法人格をもっていたが,単に〈地方団体〉と称していた。自治権をもつ公法人であることを明確にするために導入された法令用語である。地方公共団体は,法令上,都道府県と市町村を指す〈普通地方公共団体〉と特別区,地方公共団体の組合,財産区,地方開発事業団等を指す〈特別地方公共団体〉に分類される。前者は住民福祉の向上を目的とした一般目的の地方公共団体であり,後者はある特定目的の達成のために組織された団体といえるが,制度と運営実態からいえば,特別区は普通地方公共団体とおおむね変わらない。ところで,今日,地方公共団体を意味して広く使用されている〈地方自治体〉は,法令上の用語ではない。これは一般に都道府県,市町村,特別区を含意しており,これ以外の特別地方公共団体を意味しない。〈地方自治体〉は,1960年安保闘争後に提唱された地域民主主義を背景として使われはじめた。〈地方公共団体〉なる価値中立的法令用語に代えて,住民の自治団体であることを言葉のうえでも明確にし,地方公共団体を政治変革の戦略拠点に位置づけようとする思想に立脚していた。地域民主主義論にはさまざまな批判があるが,地方公共団体の政治・行政上の役割が増すにつれて広く定着し,学術論文でも多用されている。さらに今日では,住民の統御する政府であり,国(中央政府)との対等関係を明確にするために,〈地方政府〉なる用語も使われる。

第2次大戦前の大日本帝国憲法(明治憲法)には地方自治に関する規定は存在しなかった。また現行地方自治法のように地方団体の組織と権能を包括的に規定した法律も存在しなかった。明治維新から約20年間にわたって地方団体の編成には幾多の曲折がみられるが,ほぼ明治20年代に入って制度の安定をみた。これ以降,地方団体の権能と組織は,1888年制定の市制,町村制および90年制定の府県制,郡制なる4件の地方団体法に定められた。府県は郡市町村を包括する団体であり,郡は町村を包括する団体である。これらはいずれも公法人格をもっていた。またそれぞれの団体には執行機関としての首長と議決機関としての議会がおかれた。しかし府県の長たる知事は上記の地方団体法とは別個の地方官官制(勅令)によって,国の普通地方行政機関と位置づけられ,中央政府から派遣される役人であった。府県庁の組織も上の官制によって定められていた。郡長もまた官選であった。市町村長の選任は1925年まで,市長については市会が3人の候補者を選任し内務大臣が上奏裁可を請うものとされ,町村長については町村会の選任と知事の認可を要した。その後,26年以降は市町村会の選挙に改められた。地方団体の権能はいわゆる非権力的な公共事務に限定されており,権力的な規制行政権限は団体の権能には含まれずもっぱら知事の権限であり,一部が知事から市町村長に執行委任されていた。したがって,公法人格をもつ団体とはいっても,住民の自治団体からはほど遠かったのである。

地方公共団体のコラム・用語解説

【特別区を除く特別地方公共団体】
一部事務組合
普通地方公共団体または特別区が地方自治法284条1項に基づき事務の一部を共同処理するために設ける組合。1974年以来,市町村の一部事務組合では,共同処置しようとする事務が他市町村のそれと同一でなくとも設置できる。組合には規約に基づき執行機関と議会が設置されねばならない。全国に多数組織されている(2004年7月1日現在2438)。
財産区
法人格をもつ特別地方公共団体であり,市町村,特別区の一部で財産をもち,または営造物を設けているものをいう。市区町村の条例により議会ないし総会と財産区管理会が設置される(地方自治法294条等)。
全部事務組合
町村が地方自治法284条2項の規定により,事務の全部を処理するために協議により規約を定め設けた組合のこと。公法人としての町村は残るが公職選挙法,地方交付税法上一つの団体とみなされる。1959年10月1日以降存在しない。
地方開発事業団
普通地方公共団体が共同して一定地区の総合開発のために上下水道や港湾建設,工場用地取得,区画整理事業等の実施を委託する目的で設置する事業団体。特別地方公共団体であり,2004年7月1日現在全国で1設置されている。
役場事務組合
町村が地方自治法284条3項の規定により,役場事務を共同処理するために協議により規約を定め設けた組合のこと。1959年10月1日以降存在しない。
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現代日本における地方公共団体=地方自治体の位置と権能は,第2次大戦前と異なり憲法によって保障されることになった。日本国憲法92条は〈地方公共団体の組織および運営に関する事項は,地方自治の本旨に基づいて,法律でこれを定める〉と規定し,憲法と同日に地方自治法が地方自治体の基本法として施行された。憲法が地方自治を保障したことについては,さらに積極的に地方自治を三権分立と並ぶ政治原理と解するべきであるとの意見もある。事実,憲法は〈地方公共団体は,その財産を管理し,事務を処理し,及び行政を執行する権能を有し,法律の範囲内で条例を制定することができる〉(憲法94条)と定め,地方的問題を住民が創意とくふうをもって解決するために,地方自治体に自主立法権,行政権,財政権を付与している。これを受けて地方自治法も〈普通地方公共団体は,その公共事務及び法律又はこれに基く政令により普通地方公共団体に属するものの外,その区域内におけるその他の行政事務で国の事務に属しないものを処理する〉(地方自治法2条2項)と規定し,さらに同条3項において22項目にわたって事務を例示しており,14条においてこれらの事務を処理するための自主立法権=条例制定権を認めている。法に規定された広範な権能の遂行のために,普通地方公共団体には直接公選の首長と議会という形で,執行機関と議決機関が設置されている。議院内閣制と異なり,首長と議会は住民に直接責任を負い,両者の抑制均衡のもとに団体意思の決定と遂行にあたる。首長と別個に執行機関として教育委員会をはじめとする行政委員会が置かれており,それらの委員の選任は個別の法律に定められているが,おおむね首長が議会の同意を得て任命する。また行政執行の監査機関として,独任制の監査委員がおかれる。住民は,当該地方公共団体において選挙権,被選挙権を行使できるのはもとより,首長,主要公務員,議員の解職,議会の解散,条例の制定・改廃,監査の請求を行うことができる。

ところで,以上のように地方自治体の自治権は,憲法,法令によって保障されているが,国との行財政関係に目を転ずるならば,その基盤ははなはだ弱体である。地方自治法によって地方公共団体の事務とされたものと別個に,首長および行政委員会には,個別法令に基づき国の事務が委任されている(機関委任事務。〈委任事務〉の項参照)。しかも,こうした国からの委任事務は,戦後経済発展過程において増加の一途をたどってきている。今日,都道府県の仕事のうち約7割は機関委任事務であるといわれており,知事は主務大臣の指揮監督を受け,かつ職員を使って執行にあたっている。市町村についても同様である。このことが地方自治体の裁量の余地をせばめているが,財源面においても地方自治体の自主性は乏しい。俗に〈三割自治〉なる言葉があるが,地方税法が規定する自治体固有の税源からの収入は,必要とされる経費の約3割程度とされる。地方自治体財政は,国からの地方交付税交付金,国庫支出金地方債などの財源に依存している(〈地方財政〉の項参照)。しかも,こうした依存財源の申請,交付過程において地方自治体は子細な統制を受ける。この国と地方の関係は,都道府県と市町村の関係にも,かなりの程度妥当する。前記のごとく,都道府県と市町村はともに普通地方公共団体であり,権能と機関形態は基本的に変わらない。ただ,都道府県は市町村を包括する広域的自治体として,広域的かつ高次行政機能と市町村間の調整を責任としているのである。だが,この制度本来の趣旨は必ずしも実現していない。地域保健法(旧,保健所法),社会福祉事業法,都市計画法等により都道府県(知事)は,基礎的自治体である市町村行政を直接担っている。また,知事は市町村長等への機関委任事務に指揮監督権をもち,みずからの機関委任事務の再委任や市町村職員に補助を求めることができる(地方自治法146,153条)。さらに,市町村の補助金申請や起債申請は都道府県庁を経由することにより,事実上の審査が加えられている。このように都道府県には国の出先機関的色彩が濃い。

国,都道府県,市町村間にはきわめて強い統制関係が存在する。加えて,高度経済成長期には,北九州5市合併,いわき市の成立にみる広域合併,一部事務組合や地方開発事業団なる特別地方公共団体の活用による広域行政が,市町村レベルで進んだ。だが,集権的構造下での都市・公害問題の噴出は,まず市町村レベルに地方自治制度本来の理念追求の気運をもたらした。いわゆる〈革新首長〉による公害,福祉,都市計画面での先導的政策の実施と市民参加の推進は,市町村を国の末端行政機構から,住民に最も身近な政府へと転換させることに道を開いたといえる。さらに70年代末には,府県レベルに国の出先機関から脱し,広域自治体に純化しようとする動きが生じた。いわゆる〈地方の時代〉の提唱である。地方自治体は,分散かつ分権型の中央・地方関係の創造を求めた。こうした方向に向かって市町村の中には,街づくり面で数々のユニークな施策が試みられ,府県から市町村への権限移譲も行われている。

 1995年5月には,地方分権推進法が制定され,同法に基づいて設置された地方分権推進委員会は,97年10月までに,4次にわたる勧告を内閣総理大臣に提出した。そこでは,機関委任事務制度を廃止し,自治事務と法定受託事務に改めるべきこと,必置規制(法令,通達などによって自治体に特定の組織,機関,職の設置を義務づけること)の大幅な緩和が求められている。

諸外国の地方制度は日本と同様に,住民に身近な基礎的な地方自治体local authorities,local governmentsとそれらを包括する広域的な地方自治体から成る2層制のシステムを採用している。しかし,地方自治体の組織および運営の権限・しくみは国ごとに異なっているばかりか,一国内においても多様であることが多い。住民が自治体を組織する法的源泉に関して,英米系諸国には自然権説が,大陸系諸国には国家から付与されたとする伝来説が強いが,こうした法・政治思想の相違が,今日でも地方自治体の権限・しくみに多くの影響を与えている。

 さて,従来から地方自治の母国といわれるイギリスの地方自治体は,1965年施行のロンドン政府法,74年施行の地方自治法,75年施行のスコットランド地方自治法によって大きく再編成された。ロンドン地区には大ロンドン県Greater London Councilの下にロンドン市と31のロンドン・バラLondon Boroughが,イングランドとウェールズには都市圏に六つの都市圏カウンティMetropolitan Countiesが設けられ,その下に都市圏ディストリクトMetropolitan Districtsが,非都市圏に39のカウンティとディストリクトが,スコットランドにはグラスゴー中心にスコットランド・リージョンとディストリクトが設置された。これらは公法人格をもつ自治団体であり,課税権,立法権を有するが,基礎自治体の主たる機能は教育,社会福祉,公共住宅であり,広域自治体のそれは経済開発と基礎自治体間の調整である。政治機関はいずれも直接公選の議会councilであり議決機関と執行機関の権能をあわせもっている。

 アメリカの地方自治体は州議会から付与された憲章charterに基づいて設けられる。名称は市city,タウンtown,ビレッジvillageと多様であるが,いずれも法人格をもつ自治団体municipalityであり,組織と権限は憲章に定められている。自治団体の政府組織形態は,大きく分類すると市長・市会型mayor-council plan,市会・市支配人型council-manager plan,委員会型commission planの3形態がみられる。こうした自治団体に加えて,特定の行政目的のために設けられた特別区special districtsがある。代表的なそれは学校区school districtsであるが,公園区park districts,保健区health districtsなど多種多様である。これらは州憲法および州法によって設けられ,課税権,立法権をもつものが多い。運営は直接公選の行政委員会による。一般目的の自治体と特定目的の行政組織が,基層で混在していることがアメリカの地方自治体の特徴でもある。こうした基礎自治体を包括する州の地方行政単位として,カウンティcountyが多数の州に設けられているが,カウンティは法人格をもっていない。しかし,カウンティの執行機関であるカウンティ委員会board commissionは直接公選であり,都市化の進展につれて,福祉,保健,レクリエーション等の分野で重要性を増している。

 ドイツ(ドイツ連邦共和国)における自治団体Gemeinden設置の法的権限は州にある。したがって,州ごとに自治体の権限,組織はかなり異なっているが,いずれも法人格をもつ。また自治体の事務は,州法によって実施が義務づけられたものと州からの委任事務に加え自治体の発意によるものから成る。政府形態は,日本と同様の市長・議会Bürgermeister-Gemeindevertretung型に加え,議会が議決機関と執行機関を兼ねるもの,議会が選出する参事会Magistratが執行機関となる形態,議会が行政執行の責任を行政管理者Gemeindedirektorにゆだねるものの4種に大別できる。基礎的な自治団体を広域的に包括する自治体として県Landkreisがある。県も州によって設置され,自治事務と州からの委任事務,州法に義務づけられた事務を遂行する。県の議決機関は公選の県議会であるが,県議会は会議の準備等のために県参事会を選出する。県行政の執行責任は議会選出ないし公選の行政管理者Landratにある。
地方自治
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百科事典マイペディア 「地方公共団体」の意味・わかりやすい解説

地方公共団体【ちほうこうきょうだんたい】

地方自治体とも。国の一定地域を存立の基礎とし,その地域内の居住滞在者に対して法の認める支配権を行使する団体。地方自治法がその組織と運営に関し定める。普通地方公共団体(都道府県市町村)と特別地方公共団体(特別区財産区等)がある。→地方自治
→関連項目一般選挙委任事務義務教育費国庫負担法行政機関行政区公営住宅公共団体公平委員会自治省市町村長社会教育法住宅・都市整備公団住民投票消防庁条例地方議会地方公営企業地方交付税地方公務員地方債地方財政直接請求福祉のまちづくり吏員

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知恵蔵 「地方公共団体」の解説

地方公共団体

国の領土の一定地域を基礎とし、その内部の住民を構成員とし、その地域における政治・行政の権能を持つことを国法で認められている団体。一般には(地方)自治体と呼ばれている。また近年は、中央政府に対して地方公共団体の統治機構を地方政府と呼び、中央政府対地方政府および地方政府間の関係を政府間関係(intergovernmental relations)として捉えることが、地方自治概念を構成するうえで有効であると提唱されている。地方自治法は、地方公共団体を、都道府県および市町村の普通地方公共団体と、特別区、地方公共団体の組合、財産区および地方開発事業団の特別地方公共団体に分ける。都道府県と市町村は、共に公選の首長と議会を有する普通地方公共団体であるが、都道府県は市町村と国との間の中間団体の性格を持つ。なお、都道府県と市町村の事務配分において、これまで都道府県は、広域性、統一処理、連絡調整、事務の規模の4つを基準として事務配分してきたが、1999年の地方自治法改正で、「統一処理を要する事務」の基準が廃止されたほか、都道府県から市町村への地域の実情に応じた事務移譲を推進するため、条例によって市町村に事務委託ができるよう特例制度が新設された。

(北山俊哉 関西学院大学教授 / 笠京子 明治大学大学院教授 / 2007年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「地方公共団体」の意味・わかりやすい解説

地方公共団体
ちほうこうきょうだんたい

一定の地域と住民からなり,その地域内において,自治権に基づき,公の行政を行なうことを目的とする公共団体。地方自治法により人格を認められた公法人で,都道府県および市町村の普通地方公共団体と,特別区,地方公共団体の組合,財産区,地方開発事業団の特別地方公共団体とがある。憲法に自治権を保障されている地方公共団体とは,直接には普通地方公共団体をさす。組織および運営については憲法に基づいて地方自治法が定め,独立対等な議決機関と執行機関として議会と長,委員会,委員などをおいて自治立法権,一般行政権,財政権を行使する。

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世界大百科事典(旧版)内の地方公共団体の言及

【公法人】より

…この観念は,国および公共団体を指す意味で用いられる場合と,国以外の公共団体のみを指す意味で用いられる場合とがある。公共団体とは,地方公共団体(都道府県,市町村など),公の社団法人である公共組合(土地区画整理組合,土地改良区,共済組合など)および公の財団法人たる営造物法人(公社,公団など)である。 国家法人説は,国が私法関係においてあらわれる場合のみならず,公権力を行使するなどの特別の地位において活動する場合においても,国を法人としてとらえようとしたものであり,国を法の拘束のもとにおくという点で積極的な役割を有したが,この場合,国は公法人とよばれることがある。…

【地方財政】より

…地方公共団体の財政のこと。消費者ひとりひとりに個別的な利益を与える財貨やサービス,すなわち,私的財と呼ばれるものは,市場に参加する供給者と需要者との間の売買を通じて提供される。…

※「地方公共団体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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